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2024/04/26

医師の報酬における給与と外注費の区分

1.はじめに

税務調査において、給与ないし外注費のいずれに該当するかが問題とされることはよくある論点です。そこで本日は、医師の給与と外注費の区分についてお伝えいたします。

 

2.給与と外注費の区分とその問題点

給与と外注費を分ける判断基準は様々ですが、主な判断基準は、

①仕事の遂行にあたり指揮監督を受けるか
②材料等、仕事の遂行に必要な資材を自己において用意しているか(費用負担)
③仮にその仕事が不可抗力等で完了しなかった場合においては、その報酬の請求ができないこと(危険負担)
④その契約の内容が他人の代替を受け入れるか

などを総合的に勘案し、自己の責任において遂行していれば外注費、他者の指揮下であれば給与とみなされることとなります。

この場合、もし外注費として処理していた場合において、給与と判断されてしまうと、源泉所得税の徴収漏れ、消費税の課税仕入の否認など、様々な問題が発生することが考えられます。

 

3.医師の健康診断業務に係る役務提供報酬が給与とされた事例

それでは医師について、給与とされた具体例として近々の公開裁決事例を紹介したいと思います。
本件事例では、判決において関与先の病院等から業務を請負う事業所得者であることは確定していました。しかし、その病院等から請け負った健康診断業務につき、従事時間を基に対価が支払われており、その業務内容、従事場所など指定を受けていたことなどから、本件業務について指揮命令、空間的、時間的拘束を受けていたことなどから給与に該当するものと判断されています。(令和3年11月19日裁決)
また、上記以外の裁決事例などから、非常勤医師などで給与とされる根拠としてまとめると大きく2つ、
①非常勤医師としての服務が病院長等の管理監督下にて一定期間労務を提供していたこと
②診療に必要な人員、設備などが病院等で提供されていること

などから、その労務提供に独立性がないことが示されています。(昭和59年3月24日裁決、昭和62年12月25日裁決)

 

4.最後に

今回は、法人等において外注費として処理を行っていたものについて、給与とされた場合について具体例を交えてお伝えいたしました。給与ないし外注費の別を判断する場合、その内容を精査することも重要ですが、併せてその役務の提供について税務上、証拠となる契約書等を整理、保存し、かつ定期的に見直すことなども重要となります。

<参考リンク>
◯国税不服審判所
非常勤医師の報酬(令和3年11月19日裁決)
https://www.kfs.go.jp/service/MP/02/0204020000.html
 所得の区分(昭和59年3月24日裁決、昭和62年12月25日裁決)
https://www.kfs.go.jp/service/MP/02/0203120000.html

 


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