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2019/03/02

クリニック開業準備の基礎知識

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はじめに

いよいよ、夢の独立開業に向けて、歩み出すと知りたいことが沢山ありますよね。何から始めたらいいのでしょう。誰に相談したらいいのでしょうか。夢が大きい分、不安も大きくなっていませんか。多くの先生方は、開業している先輩に相談したり、開業セミナーに参加し知識を身につけながら、開業に向けて準備をされてきました。開業を志してから、開業するまでにやるべきことと、その流れの全体像をつかんでおくことが準備段階において大切です。あなたも理想とするクリニックの開業に向かって、基本を押さえておきましょう。

 

中心的なアドバイザーに開業支援を依頼する(開業1年前)

勤務医として働く傍ら開業のために必要なことを調べながら準備していくことは、膨大な時間がかかり意外と労力を伴います。独立を志す先生には、頼りになるブレーンはもちろん、先生が勤務中に着々と準備を進めてくれる右腕のような存在が必要です。それを担ってくれるのは、各種ディーラー、メーカーの開業支援部門スタッフ、会計事務所、医療コンサルタントなどです。

薬剤ディーラー、医療機器メーカー、会計事務所などは開業前後の契約をすることが前提条件ですが、開業支援は無料、もしくは安価で請け負ってもらえることが多いようです。また最近はアドバイザーがアライアンスを組んで、それぞれの得意な支援を役割分担してやってくれることも増えてきているようです。

コンサルタントは、依頼を受ける方によって知識や経験に大きな差があります。他の業者とトラブルを起こすケースもありますので、どこまでを委任するのか、料金体系や開業後の処遇など、きちんと契約を結ぶことが重要です。

 

■コンサルティング料の相場

プロの開業コンサルタント  :  200~300万円程度

医薬品メーカー         :  無料 開業後の取引が前提

医療機器メーカー       :  無料 医療機器の購入が前提

会計事務所           :  無料~100万円 開業後の税務関与が前提

 

開業候補地を探して、診療圏調査により開業地を決める(開業1年前)

立地条件は、スタートダッシュに大きく影響しますし、将来を見越して判断しなければなりません。中心的なアドバイザーが開業候補地を探してくれます。土地・ビルテナント・居抜き物件など情報は千差万別。紹介された情報から物件を先生自身の目でチェックしましょう。周辺地域を歩いてまわり、患者さんが多く来院してくる様子をイメージしてみましょう。また、地域柄によっては住民の年齢層・所得層などに大きな違いがありますので、ターゲットになる患者に合わせて開業地を選ぶことが重要です。市町村のHPに人口や世帯数、年齢や出生率などが掲載されていますので、それを参考にしましょう。

 

診療科や得意とする治療内容によって、立地のポイントを見極める

 

一般内科  ・・  戸建て住宅地 もしくは 過去の勤務病院が近いところ 

慢性疾患の患者をターゲットの場合は、若い世代が住む新興住宅地はNG

心療内科  ・・  アクセスの良い商業地区 ビル診が多い

消化器内科・・  検査メインなら駅近くでもよいが、早朝検診は必須

整形外科  ・・  付近に医院の多い所、広い駐車場の確保 1Fが望ましい

眼科     ・・  手術メインなら交通アクセスの良いところ

小児科   ・・  保育園、学校近く。新興住宅地 出生率を調べる

皮膚科   ・・  あまり場所を選ばない アレルギーがメインの場合は小児科に似ている

耳鼻科   ・・  対象患者層が広く、あまり場所を選ばない 広い駐車場の確保

婦人科   ・・  ビル診の場合は上の階。ある程度の広告費が必要

脳神経外科・・  駅近くの立地の良い場所 もしくはアクセスの良い住宅隣接地

 

■駐車場について

駐車場は、広いことに越したことはありません。患者さんにとって駐車場が広く入りやすい医院であることが重要なポイントとなっています。街中の沿線の立地でもなければ、広い駐車場は必須です。特に内科・小児科・整形外科・耳鼻科は、患者さんを家族が車で乗せ来院する場合がほとんど。駐車台数は1時間以内に診察する患者さんの数だけは確保したいところです。

 

資金調達・助成金申請(開業8ヶ月前)

  • 投資計画・事業計画書を作成する

大まかな投資計画・事業計画を立案しましょう。土地・建物・医療機器などを見積もり、スタッフを何人雇って開院するかを検討します。診療圏調査で見込んだ来院患者数をベースに、採算をシミュレーションしてみましょう。税理士法人アップパートナーズは、年間数十件の開業支援を行っている実績から顧問先の経営実績のエビデンスがありますので、独立開業の案件でも 正確な事業計画書を作ることができます。

金融機関は事業計画通りの開業かどうかを厳しくチェックしますので、融資交渉において事業計画の信憑性は大きな要素となります。

 

  • 金融機関へ融資の申し込み

融資の申し込みをすると、銀行では融資した資金を長年にわたって毎月返済してくれるかどうかシビアな審査がなされます。融資の相談にのってくれる銀行の担当者ではなく、本部の審査部が行います。返済能力について担当者を通じて本部に正確に伝えるためには、しっかりとした提出書面が重要になってきます。ここでは銀行の審査のポイントを3つご紹介します。

 

1.事業計画書

銀行は、「経営の安定性」を重視します。よって、自由診療収入を高く見込んでいても信用してもらえません。また人口統計に基づいた診療圏調査よりも来院患者数を多く見込んでも納得されません。手堅い収益予想を立てましょう。また患者紹介、提携病院、訪問診療を提携した施設をアピールできると融資先としてのポイントは高くなります。

 

2.本人評価

先生ご本人の勤務医時代の年収や経験実績などが評価されます。これまでの経験を踏まえた先生の診療方針などビジョンをペーパーにまとめておきましょう。また、多かれ少なかれ自己資金額も重要な評価ポイントで、貯蓄のある先生は借金を返済できる力があると評価されます。

 

3.保証人の返済能力と担保の価値

最近の融資は、保証人を配偶者以外にしたり、担保を提供したりするケースは少なくなっています。

しかし、融資金額が多額になればなるほど、銀行は本人が返済できなくなるリスクを他でカバーできる保証を求めます。そういった場合は保証人や担保提供を求められることがあります。

借入のコツは、開業資金として、なるべく多くの額を借りて、なるべくゆっくり返すことです。

開業後になって不足資金を借りることは難しくなるため開業当初に多く借りてプールしておくと安心です。運転資金は、1,000万円から1,500万円は準備しておきましょう。

また、開業時の借入年数は10年から15年と長期ですが、後で借り入れする場合は5年から7年と短い返済期間となるため 開業後に購入しようとお考えの医療機器は、開業時に購入されておくのが賢明です。

 

最近の開業融資条件の傾向

借入先 ・・・ 地方銀行に政府系銀行、リースなどを組み合わせます。

返済期間・・・ 15~25年が一般的。土地購入の場合は土地20年に設定している銀行が

多いです。建物付の場合は20年以上の返済で交渉します。

保証人 ・・・ 通常は配偶者ですが、最近は保証人不要な場合も多くなっています。

担保  ・・・ 不要な場合が多くなっています。

金利  ・・・ 0.9%~1.8% 資産背景、保証人・担保の有無など個々の様々な要因を元に、金融機関が考えるリスクの度合いによって決まります。

自己資金・・・500~2,000万円程度が一般的です。

 

助成金の申請を検討しましょう。開業地域や条件によっては助成金の申請も検討してみましょう。

例えば、「地域雇用開発奨励金」の場合、福岡県は政令指定都市(福岡・北九州)を除いて対象地域となっています。長崎県、佐賀県は全域が対象です。(平成27年6月末現在)

 

建物設計・建築(開業まで8ヶ月→1ヶ月前まで)

・医院建築に精通した設計士に依頼されることをお勧めします。

・デザイン専門の方に依頼する場合は、スタッフの動線、医療機器の配置等に不慣れな場合があるので、必ず先生ご自身で確認しましょう。

・設計料(デザイン料)は建築価格×8~10%くらいが相場です

・設計士が施工会社の選定と、施工管理まで行うのが通例です。

・プランの変更などを想定し、建設費は5%くらい余裕をもって見積もっておくと安心です。

・建築費は、坪単価✕建坪で決まります。坪単価は、テナント・木造建物・鉄骨建物の順に高くなります。

 

医師会への加入の決定(開業6ヶ月前)

・地域の医師会に入会する場合は、なるべく早く地区の会長、役員へご挨拶に伺うことをおすすめします。

・入会金は地域によって大きく異なります。(地方ほど高い傾向)

・福岡市、北九州市では入会しないケースが見られます。

・医師会加入の最大のメリットは、政府管掌の健康保険に比べて割安な医師国保に加入できること。

・開業時にどの程度の広告ができるかの地域の医師会ルールも確認しておきましょう。

 

診療機材・器具の選定(開業6ヶ月前 小器具は直前まで検討)

治療に必要な機材・器具は、できるだけ開業時に揃えるようにしておきましょう。

開業時は借入返済の期間が15~20年と長く、投資負担感が少ないからです。開業後は法定耐用年数程度の6~10年で返済する契約になります。

 

医療機材・器具の投資額の目安(電子カルテの有無や先生の治療方針によって異なります)

 

内科      ・・ 2,000~2,500万円

消化器内科 ・・ 2,500~3,500万円

小児科    ・・ 1,500~2,000万円

整形外科   ・・ 2,500~3,000万円

眼科      ・・ 5,000~1億円

皮膚科    ・・ 1,500~2,500万円

耳鼻科    ・・ 1,500~3,000万円

脳神経外科 ・・ 1~2億円

 

スタッフの募集面接採用・就業規則作成(開業6ヶ月→1ヶ月前まで)

雇用は専門的な分野ですので、社会保険労務士や開業コンサルタントに依頼されることをおすすめします。

先生ご自身で求人活動などをされるとなると、勤務しながら時間を確保しなければなりません。求職者との連絡時間の設定、面接会場の確保なども必要になってきます。雇用条件を募集時からしっかり決めて、求人内容として明記しなければならず、煩雑な作業や労力が伴います。

 

■雇用条件項目

求人票に記載しなければならないのは、1日の勤務時間 休日 月額給与・時給 職務内容 雇入れ日 通勤手当金額 健康保険・年金等の種類 賞与の支給時期 昇給時期などです。最もポピュラーなハローワークには、求人票に細かな雇用条件を明記する必要があります。

求人募集のメディアは、有料広告としてパコラ、リクナビ、マイナビ、オフタイムなどがメジャーですが、紹介予定派遣を利用する方法もあります。

募集時の給与は地域相場よりもやや高めに設定しましょう。厚生年金保険も募集時のポイントが高いです。それでも、いいスタッフが集まらないときは、人材紹介・派遣を検討してみましょう。

 

■労働紛争から医院を守るためのルールブックづくり

 

医療経営に精通した社会保険労務士による、開業するクリニック独自の就業規則の作成をおすすめします。社労士が作成した一般的なものやインターネットなどでダウンロードできる雛形は、全く役に立ちません。

就業規則は、労働関連の法律に沿って独自の決め事を明記したルールブックです。これをスタッフに周知させることで、未然にルール違反を防げるとともに、規則違反があったときには最悪の場合、解雇などの処分を正当に行うことができます。

就業規則作成を社労士に依頼した場合、15~25万円が相場です。

 

待合室家具、家電備品の購入 保険・保守契約(開業前2ヶ月→直前まで)

開業時には、待合室の家具をはじめ備品などが不足している場合が多く見られます。

ウォーターサーバーやスリッパ、マットなど開業後にあわてて買い足すことがないように準備しておきましょう。

見落としがちなのが医院のクリーニングです。また、医院の火災保険や機械警備、医療機器の保守契約等も忘れずに、業者選定や内容比較、価格の交渉などを済ませておきましょう。

 

保健所関係の手続き(開業前2ヶ月→開業後)

開業場所の所轄の保健所や厚生局に診療所を開設の届け出が必要です。開業月日に保険診療を始めるためには、期限内に書類を提出しなくてはいけませんので、必ず保健所と厚生局へ問い合わせをしておきましょう。

1.診療所開設届(保健所)

2.X線備付届(保健所)

3.保険医療機関指定申請書・施設基準届出書(厚生局)

4.生保・原爆・感染症等指定申請書(保健所・市役所)

それぞれに添付書類として、医師・歯科医師免許証、履歴書、医院平面図、周辺図、賃貸借契約書、登記簿謄本などの添付書類が必要です。

 

社会保険手続きと税務署の手続き(開業前1ヶ月→開業後)

雇用開始と同時に、スタッフの社会保険関係の手続きを行います。社会保険とは、「健康保険」「厚生年金」「雇用保険」「労災保険」の4つです。各スタッフの雇用条件によって、加入する保険が異なりますので、それぞれの手続が必要になります。社会保険労務士が手続き代行をしてくれます。

 

開業と同時に所轄の税務署へ開業届出を提出します。主な届け出書類は下記の6つですが、期限を過ぎると損をしますので、要注意です。例えば、「所得税の青色申告承認申請書」を提出し忘れると、初年度が赤字になった場合、翌年に繰越ができず税金を多く払わなければいけません。開業前から顧問の税理士事務所へ手続きの依頼をしましょう。

 

1.個人事業の開廃業等届出書(事業開始の日から1ヶ月以内)

2.所得税の青色申告承認申請書(開業の日から2ヶ月以内)

3.給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書(開設から1ヶ月以内)

4.源泉所得税の納期の特例の承認に関する届出書

5.所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書

6.青色事業専従者給与に関する届出書(配偶者が働くこととなってから2ヶ月以内)

 

開業トレーニング&診療リハーサル(開業直前)

開業前の実践的なトレーニングを行いましょう。実際の患者さんを想定して、診療のシミュレーションを行います。特に、重要項目は、機器の操作、レセコンの入力、会計です。また、診療後のレジ締め、記帳の方法なども確認します。通常、15日間程度。最低でも10日間はトレーニングを行います。

 

最後に

以上、クリニック開業準備のための基礎知識を開業までのプロセスに沿ってご説明してきましたが、実際の開業準備は多岐に渡り専門的な準備が必要になってきます。お一人で悩まず、税理士やメーカーディーラーの担当者、銀行の担当者など外部の知恵や力も借りながら、開業準備をスムーズに運びましょう。

もっと詳しく知りたい、開業準備について的確なアドバイスをご希望の方はご相談を随時お受けしておりますので、ご遠慮なくお問い合わせください。


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