人件費の負担軽減に活用できる2つの制度

1.はじめに
令和6年度診療報酬改定においてベースアップ評価料が新設されたこと、最低賃金の引き上げなどにより、人件費の負担が増えていることと思います。そのような場合に医院が法人税の税額控除を受けることが出来る賃上げ促進税制について、過去の記事「賃上げ促進税制の拡充及び延長」(2024年5月9日)でご紹介しました。
また、人材確保に苦労されていらっしゃる医院様も多いのではないでしょうか。今回ご紹介する奨学金返還支援制度を利用することでそのような課題解決につながる可能性もございます。賃上げ促進税制との関係性も含めてご説明させて頂きます。
2.賃上げ促進税制とは?
青色申告書を提出する中小企業者等(資本金1億円以下の法人、農業組合等)または従業員数1,000人以下の個人事業主が、前年度より給与等支給額を増加させた場合に、その増加額の一部を法人税(個人事業主は所得税)から税額控除できる制度です。
3.奨学金返還支援制度とは?
将来、各企業等の担い手となる奨学金返還者を応援するための取り組みとして、スタッフの奨学金返還残額を、医院等が日本学生支援機構へ直接返金する制度です。
これまでは各医院から社員へ返還額を支払う方法のみでしたが、令和3年4月より、企業から日本学生支援機構へ直接送金することが可能になっております。
独立行政法人日本学生支援機構のHPによると、令和6年10月末時点で、全国2,587社がこの奨学金返還支援制度を利用しているとのことです。
医院側のメリットとしては、この制度を導入することで、採用力向上、雇用の安定を図ることが出来ます。
従業員側のメリットとしては、経済的負担の軽減や支援を受けた額の所得税が非課税となり得ることです。
本制度の詳細につきましては、独立行政法人日本学生支援機構のHPでご確認下さい。
4.賃上げ促進税制と奨学金返還支援制度について
医院が学生の貸与型奨学金の返還を学生の代わりに担う際に充てる経費は、賃上げ促進税制の給与等支給額の対象となります。
また、返還に充てた金額については、学資に充てる費用となるため、損金算入することが出来ます。
5.最後に
今後も最低賃金の引き上げなどにより給与水準は高まっていくことが予測されます。また、就職を希望する方からすると福利厚生や待遇面は重要な志望動機の要素となります。その際に、今回ご説明した制度をご参考にして頂ければ、医院の経営に役立つものと考えます。
もし、内容等につきましてご不明な点などございましたらお気軽にご相談下さい。
- 病院・クリニックの方へ
- 歯科の方へ
- 新規開業をお考えの方へ
- 医療法人設立をお考えへ
- 事業承継・相続・売却をお考えの方へ
グループのサービスご紹介