【令和8年度】九州・沖縄の診療科別平均点数と集団指導
Contents
1.はじめに
保険医療機関として指定を受けると、健康保険法をはじめとする関係法令および保険診療のルールを遵守する義務が生じます。診療報酬の適切な算定・請求はその中核をなすものであり、診療報酬明細書の1件当たりの平均点数が診療科別の平均点数の一定割合を超える保険医療機関等には、地方厚生局による集団指導・個別指導が行われることがあります。令和8年度の最新データをもとに、九州・沖縄エリアの診療科別平均点数を確認しながら、指導対策のポイントを整理します。
2.令和8年度 診療科別平均点数(九州・沖縄)
厚生局より令和8年度の保険医療機関の診療科別平均点数が出されました。
| 区分 | 福岡県 | 佐賀県 | 長崎県 | 熊本県 | 大分県 | 宮崎県 | 鹿児島県 | 沖縄県 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 【医科(病院)】 | ||||||||
| 一般病院 | 57,790 | 55,923 | 56,273 | 55,366 | 55,435 | 53,285 | 57,018 | 58,204 |
| 精神病院 | 42,729 | 40,228 | 39,605 | 40,779 | 39,804 | 38,544 | 38,021 | 44,346 |
| 臨研・大附・特定 | 76,921 | 76,037 | 72,397 | 77,408 | 72,582 | 78,093 | 82,125 | 73,479 |
| 【医科(診療所)】 | ||||||||
| 内科(透析有) | 7,648 | 6,227 | 5,003 | 5,313 | 3,866 | 4,214 | 8,214 | 3,040 |
| 内科(その他) | 1,153 | 964 | 1,245 | 1,175 | 1,102 | 1,122 | 1,261 | 931 |
| 内科(在宅) | 1,407 | 1,298 | 1,418 | 1,390 | 1,269 | 1,467 | 1,562 | 1,610 |
| 精神・神経科 | 949 | 1,006 | 692 | 910 | 1,006 | 923 | 1,105 | 1,166 |
| 小児科 | 1,040 | 2,619 | 914 | 1,070 | 901 | 1,013 | 827 | 798 |
| 外科 | 1,268 | 1,163 | 1,182 | 1,115 | 1,416 | 1,274 | 2,144 | 1,616 |
| 整形外科 | 1,188 | 1,535 | 1,108 | 1,154 | 1,214 | 1,092 | 2,623 | 1,268 |
| 皮膚科 | 605 | 676 | 566 | 617 | 583 | 638 | 642 | 554 |
| 泌尿器科 | 842 | 1,064 | 856 | 1,055 | 1,431 | 1,178 | 1,046 | 729 |
| 産婦人科 | 1,452 | 1,093 | 957 | 1,430 | 1,222 | 1,456 | 1,465 | 1,337 |
| 眼科 | 965 | 1,034 | 992 | 1,062 | 1,131 | 1,186 | 1,118 | 1,205 |
| 耳鼻咽喉科 | 855 | 690 | 644 | 798 | 732 | 895 | 1,033 | 654 |
| 【歯科・薬局】 | ||||||||
| 歯科 | 1,366 | 1,245 | 1,290 | 1,306 | 1,350 | 1,322 | 1,238 | 1,249 |
| 薬局 | 1,087 | 1,037 | 1,149 | 1,102 | 1,202 | 1,118 | 1,103 | 1,143 |
ボーダーラインはどこ?
集団的個別指導の対象となるボーダーラインは、診療科別平均点数に対して以下の倍率を超えた場合が目安となります。
医科病院:各県の診療科別平均点数の1.1倍を超えた場合
医科診療所、歯科病院、歯科診療所、薬局:各県の診療科別平均点数の1.2倍を超えた場合
では、ボーダーとなる点数は具体的に何点でしょうか。
下表はその基準を各県の平均点数に当てはめたものです。平均点数を大きく上回るクリニックは、地方厚生局による集団指導の対象として選定されやすくなります。「なぜ高いのか」を説明できる根拠を日頃から整備しておくことが重要です。
※実際の選定基準には調整率が加味されるため、下表の点数がそのまま指導対象の基準となるものではありません。あくまでも目安としてご参照ください。
| 区分 | 福岡県 | 佐賀県 | 長崎県 | 熊本県 | 大分県 | 宮崎県 | 鹿児島県 | 沖縄県 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 【医科(病院)】 ※1.1倍基準 | ||||||||
| 一般病院 | 63,569 | 61,515 | 61,900 | 60,903 | 60,979 | 58,614 | 62,720 | 64,024 |
| 精神病院 | 47,002 | 44,251 | 43,566 | 44,857 | 43,784 | 42,398 | 41,823 | 48,781 |
| 臨研・大附・特定 | 84,613 | 83,641 | 79,637 | 85,149 | 79,840 | 85,902 | 90,338 | 80,827 |
| 【医科(診療所)】 ※1.2倍基準 | ||||||||
| 内科(人工透析有) | 9,178 | 7,472 | 6,004 | 6,376 | 4,639 | 5,057 | 9,857 | 3,648 |
| 内科(その他) | 1,384 | 1,157 | 1,494 | 1,410 | 1,322 | 1,346 | 1,513 | 1,117 |
| 内科(在宅) | 1,688 | 1,558 | 1,702 | 1,668 | 1,523 | 1,760 | 1,874 | 1,932 |
| 精神・神経科 | 1,139 | 1,207 | 830 | 1,092 | 1,207 | 1,108 | 1,326 | 1,399 |
| 小児科 | 1,248 | 3,143 | 1,097 | 1,284 | 1,081 | 1,216 | 992 | 958 |
| 外科 | 1,522 | 1,396 | 1,418 | 1,338 | 1,699 | 1,529 | 2,573 | 1,939 |
| 整形外科 | 1,426 | 1,842 | 1,330 | 1,385 | 1,457 | 1,310 | 3,148 | 1,522 |
| 皮膚科 | 726 | 811 | 679 | 740 | 700 | 766 | 770 | 665 |
| 泌尿器科 | 1,010 | 1,277 | 1,027 | 1,266 | 1,717 | 1,414 | 1,255 | 875 |
| 産婦人科 | 1,742 | 1,312 | 1,148 | 1,716 | 1,466 | 1,747 | 1,758 | 1,604 |
| 眼科 | 1,158 | 1,241 | 1,190 | 1,274 | 1,357 | 1,423 | 1,342 | 1,446 |
| 耳鼻咽喉科 | 1,026 | 828 | 773 | 958 | 878 | 1,074 | 1,240 | 785 |
| 【歯科・薬局】 ※1.2倍基準 | ||||||||
| 歯科 | 1,639 | 1,494 | 1,548 | 1,567 | 1,620 | 1,586 | 1,486 | 1,499 |
| 薬局 | 1,304 | 1,244 | 1,379 | 1,322 | 1,442 | 1,342 | 1,324 | 1,372 |
3.集団指導・個別指導とは?
集団指導
複数の保険医療機関を会場に集め、講義形式での指導が行われます。主に診療報酬の算定ルールや請求上の注意点について、行政担当者から説明を受けます。
<集団指導の対象となる保険医療機関とは?>
・医科病院の場合は1.1倍
・医科診療所、歯科病院及び歯科診療所、薬局の場合は1.2倍
かつ、
・前年度及び前々年度に集団的個別指導又は個別指導を受けた保険医療機関等を除き、類型区分ごとの保険医療機関等の総数の上位より概ね8%の範囲のものが対象となる。
個別指導
地方厚生局が特定のクリニックを選んで行う、いわば「立入検査」に近い指導です。レセプトの内容や診療録(カルテ)の確認が行われ、不適切な算定が見つかった場合は返還を求められることもあります。
<個別指導の対象となる保険医療機関とは?>
診療報酬請求等に関する情報提供があった場合、個別指導を実施したが改善が見られない場合、集団等個別指導を受けた保険医療機関等のうち、翌年度の実績においても、なお高点数保険医療機関等に該当(※)する場合等に、保険医療機関等を一定の場所に集める等して個別面談方式により行う指導である。
また、個別指導の実施件数については、医科、歯科及び薬局ごとの類型区分ごとに全保険医療機関等の4%程度に実施することとしている。
※ 高点数保険医療機関等に該当する保険医療機関等とは、翌年度の実績において、集団的個別指導を受けたグループ内の保険医療機関等の数の上位より概ね半数以上である保険医療機関等を指す。
4.過去の主な指摘事項
令和6年度の実績を参考に主な指摘事項をお伝えします。
①「疑い病名」の取り扱い(医科)
検査を実施するための傷病名として「〇〇の疑い」を安易に使いすぎると、診断の根拠が不明確と判断されることがあります。検査の目的と結果、その後の病名の確定・否定をカルテにしっかり記載しましょう。
②転帰漏れ(医科・歯科)
傷病名の終了日や転帰の記載がない場合、指摘を受けることがあります。当該傷病に対する診療が終了した際は、傷病名を削除するのではなく、「治癒」「中断」などの転帰を必ず記載しましょう。再初診の場合も、以前の診療で治療が終了または中断していることが転帰欄から確認できるよう、日頃から記載を徹底することが重要です。
③初・再診料(医科・歯科)
初診時はカルテへの記載が重要です。主訴・現病歴・既往歴・薬剤歴などを詳細に記録しましょう。また、診療中の患者に新たな傷病が生じた場合でも初診料は算定できません。電話再診は、患者や家族からの医学的な相談に対して治療上必要な指示を行った場合のみ算定可能です。
5.まとめ
本日は、診療科別平均点数と集団指導についてお伝えいたしました。
| チェック項目 | 対応のポイント |
|---|---|
| 平均点数との乖離 | 高点数の理由を説明できる記録を残す |
| 疑い病名 | 確定・否定の経緯をカルテに明記 |
| 転帰漏れ | カルテとレセプトの記載漏れに注意 |
| 初・再診料 | 詳細な記録の実施 |
指導は「罰則」ではなく「適正な保険診療のための確認」です。日頃からレセプトとカルテの整合性を意識した運営を心がけることが、最大の対策になります。
<参考資料>(執筆日:令和8年6月1日)
■指導選定の概要について
8.保険医療機関・保険薬局への指導等について
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kyushu/gyomu/gyomu/hoken_kikan/tsuchi/000192111.pdf
■初診再診などの注意点
9.個別指導及び適時調査において保険医療機関等に改善を求めた主な指摘事項について
医科
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kyushu/000423568.pdf
歯科
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kyushu/000423480.pdf
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