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2016/04/22

クリニックの新築購入費用 消費税は戻ってくるの?

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はじめに

高額なマンション新築物件を購入した際に、購入代金にかかる消費税を還付するスキームを一度は耳にされたことがあると思います。この消費税還付スキームは、医院の新築や多額の医療機器を購入する時にも応用できます。

「医院を新築したら消費税が還付されることがあると聞きましたが……。」医院を新築移転されたばかりのドクターからの質問に、お答えしていきましょう。

 

消費税の還付を受けるには、課税事業者であることが前提

消費税は、売上に含まれる消費税から、仕入れや経費の支出に含めて支払った税を差し引いて納税します。建物等を建築して代金を支払った場合、金額が大きいため代金に含まれる消費税も多額です。このため建物を購入した時に、引ききれなかった消費税が還付されます。

消費者が消費税を納税するのではなく、事業者が消費者から一旦消費税を預かって、代わりに国と地方に納税するという形をとる間接税です。

個人医院でも医療法人でも消費税の納税義務というのはありますが、さまざまな条件によって、課税事業者と免税事業者に分かれます。

医院の新築時に消費税が返ってくるかどうか、つまり消費税の還付を受けられるかどうかは、まずその医院が消費税の「課税事業者」であることが前提となります。

 

消費税の課税事業者の条件

消費税の課税事業者となるには、以下のような条件があります。

 

 (1) 2年前の課税売上が1,000万円を超える

一般的には、2年前の自費収入や事業用に使用した自動車を売却したことによって得た収入が1,000万円を超える事業者などがこれにあたります。個人医院・医療法人ですと、保険収入は非課税売上になりますので、自費収入などが主な課税売上となります。

基準期間(個人の場合は2年前の年、法人の場合は前々期の1年間)に課税売上が1,000万円を超えた場合、もしくは特定期間(個人の場合は前の年の1月1日~6月末、法人の場合は前期の最初の半年間)において、課税売上が1,000万円を超えて、かつ、その期間に支払った給与額が1,000万円を超えた場合が強制的に課税事業者となります。

また、特定期間において、課税売上が1,000万円を超えたか、あるいはその期間に支払った給与額が1,000万円を超えたかのいずれかの場合は、任意で課税事業者となることもできます。

 

 

(2) 課税事業者選択届出書を提出した事業者

上述した基準期間と特定期間において課税売上が1,000万円を超えない場合は免税事業者なのですが、還付を受ける目的であえて課税事業者としていたほうがいい場合は、税務署に「消費税課税事業者選択届出書」という書類を提出した事業者は課税事業者となります。

課税事業者選択届出書を提出して課税事業者になった場合は最低2年間、課税事業者選択届出書を提出して課税事業者になり、建物や医療器具を購入した場合、最低3年間は課税事業者になるということも念頭に入れておきましょう。

 

 

医療機関の消費税納税額の計算は、保険診療収入と自費収入の割合がポイント

医院・クリニック、医療法人の消費税の納税額を計算する方法としては、大枠で言うと、

消費税の納税額 = 自院が患者さんから預かった消費税額 – 自院が支払った消費税額

というシンプルな計算式となります。

消費税の納税額がマイナスの場合は、還付になり、プラスになる場合は納税となります。

これが原則ですので、仮に建物を新築した場合は、その年は支払い消費税額が増えるので、基本的にはマイナスになって還付になると思われがちなのですが、実は医療機関の場合は保険収入の額も影響してくるので、そう簡単にはいかない場合があります。

支払い消費税と認められる額を算出するときに、課税売上割合をかける必要が出てくるのです。課税売上割合の求め方は次の通りです。

課税売上割合 = 自費収入 ÷  (保険診療収入 + 自費収入)

 

支払消費税と預かり消費税を計算してみよう

(例) 以下のような医院を例に計算します

 保険診療収入 : 1,800万円

 自費収入 : 200万円

 新築費用: 5,000万円

① 課税売上割合

 自費収入200万円 ÷ (保険診療収入1800万円 + 自費収入200万円) = 10%

② 預かり消費税

 自費収入200万円 x 消費税率8% = 16万円

③ 支払消費税

 建物5,000万円 x 8% x 課税売上割合10% = 40万円

④ 消費税還付額

 支払消費税 40万円 – 預かり消費税 16万円 = 消費税還付額 24万円

 このように計算式で、消費税の還付額が求められます。

 

重要なのは、複数年に渡る専門家のシミュレーション

建物の新築など大きな支払いがある場合は、確かに消費税の還付を受けられるケースも出てきますので、上記の計算例のように24万円返ってきてメリットがあるなと思われた方も多いと思います。

しかし、ここで重要なのが、還付を受けたその年だけで考えないということです。その次の年や、翌年、翌々年のことまで長期的に考えてみてください。

5,000万円ものの建物新築などは毎年のようにあることではありません。仕入れにしてもこれほどの額になることも稀でしょう。つまり、向こう数年はそれほど大きな仕入れや設備投資はないかもしれないと考えると、決算によって向こう数年は預かり消費税のほうが多くなり、(特に個人の場合)消費税の支払いが発生するようになってメリットにならないことも少なくありません。

しかし、これは医院や医療法人の事業計画や財務的な状況によってケースバイケースですので、税理士などの専門家に個別にシミュレーションされることをおすすめします。

 

まとめ

以上、新規開業時の消費税還付について知っておきたい基礎的なポイントをご説明してきましたが、いかがでしたか。新規開業は準備をしなければいけないことが沢山ありますので、お一人で悩まず、税理士やメーカーディーラーの担当者、銀行の担当者など外部の知恵や力も借りながら、開業を成功させましょう。

もっと詳しく知りたい、新規開業について的確なアドバイスをご希望の方はご相談を随時お受けしておりますので、ご遠慮なくお問い合わせください。


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