お気軽にお問い合わせ下さい 092-403-5544
お問い合わせ
                 
クリニック経営ナビは、医科(病院・クリニック)・歯科専門の税理士による情報サイト
メニュー
閉じる
2016/04/01

開業医なら知っておきたい!小規模企業共済のメリット・デメリット

はじめに

クリニックの経営者にとってリタイア後の生活資金となる退職金は、しっかりと準備しておきたいものです。

独立行政法人中小企業基盤整備機構(略称:中小機構)が運営する小規模企業の経営者のための退職金共済制度には、約125万人の方が加入しています。

平成28年4月1日より、制度が改正され、従来からの「掛金を現金で納付する方法」に加えて、「加入申込時には現金納付せず、加入月の翌々月に掛金口座振替で納付する方法」を選べるようになりました。それでは、国がつくった「経営者のための退職金制度」についてのメリット、デメリットを押さえておきましょう。


1.小規模企業共済とは?

小規模企業共済法に基づいて、国が全額出資する中小機構が運営する小規模事業者のための節税メリットを活かした、いわば公的な退職金制度です。

一時金や年金の方式で受給できるようにあらかじめ積み立てておく制度で、将来の受取時には一定の条件を満たせば利息相当額が上乗せされて戻ってきます。
先生が医院の廃業やお子様に事業を譲渡されるときや老齢給付を受けるなど、ご自身の老後のための退職金を毎年少しずつ貯めることができる制度で、第一線をリタイアされたときに、それまで積み立ててこられた掛金に応じて共済金をお受け取りになれる共済制度です。

平成23年より個人開業医の先生だけでなく、共同経営者も医院廃業などで退任されたときの退職金として備えることができるようにもなりました。

共同経営者とは、個人開業医の先生と共に医院経営に携わっている方で、医院経営において重要な意思決定をしている、または医業に必要な資金を負担していること、かつ医業の執行に対する報酬を受けている方となります。


2.小規模企業共済のメリット

医院運用の節税効果

掛金の全額を所得から差し引くことができて、節税効果があります。例えば、課税所得が900万円超の方が年間84万円の掛金を支払った場合、約27万円の所得税を軽減できます。

資金繰り

掛金総額を上限に資金の借り受けができます。

設備投資や運転資金が必要になったときに、資金を調達することができます。例えば、開業して3年目から小規模企業共済に加入し、年間84万円を8年間掛け続けたとします。

すると、開業10年目には672万円の掛金総額となりますが、この掛金を借り受けて老朽化した医療機器を購入することができます。もちろん借入金ですので、収入にはなりません。

退職金としての節税効果

将来、退職金として受け取った時に課税される税金が少なくなります。事業を廃止した場合と65歳以上で任意解約した場合の退職金受取の課税は、最も税金が少ない「退職所得」となります。

例えば、年間84万円を20年掛け続けて、65歳で事業を廃止し退職金を受け取った場合の計算は次の様になります。
1,680万円-(40万円✕20年)÷2 = 440万円の退職所得
退職所得✕30% - 427,500円= 892,500円(所得税・住民税)

受け取った退職金に占める税金の割合は、5.3%と非常に低くなります。毎年少しずつ年金形式で受け取る場合は、雑所得の税金計算となります。


3.小規模企業共済の加入要件

個人開業医の場合の加入資格は常時使用する従業員の数が5人以下であることです。つまり、個人事業者で常勤スタッフが5名以下の院長ということになります。

また、加入対象者を事業の経営において重要な意思決定をしている、事業の執行に対する報酬を受けている個人事業主の配偶者や後継者などの「共同経営者」 まで拡大されています。
個人で事業を営んでいる場合には、勤務医であればもらえる退職金はありませんので、老後の生活の支えとして小規模企業共済への加入は有益な方法のひとつと言えます。


4.小規模企業共済のデメリット

医療法人を設立した後は、小規模企業共済に加入することはできません。また、個人から法人成りして医療法人を設立した場合には、その役員である医師は加入できませんのでご注意ください。
個人事業者での加入から医療法人にした後は、23年1月以降に加入した方の場合、基本的に任意解約することになり、掛金納付月数が240ヵ月(20年)未満の場合は元本割れとなり、受取金が掛金を下回ることになります。

これを防止するために個人事業で医療機器や備品のリース業等を続けるなど仕組みづくりを講じる必要があります。


まとめ

以上、小規模企業共済についてご説明してきましたが、リタイア後の大切な生活資金の確保として 先生の退職金を準備しておきたいところですね。

特に、節税効果を発揮できるメリットも魅力です。もっと詳しく知りたい、クリニック経営や節税について的確なアドバイスをご希望の方はご相談を随時お受けしておりますので、ご遠慮なくお問い合わせください。


メール相談
メール相談メール相談
ページトップへ