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2022/07/15

個人の医院・クリニックで可能な節税対策まとめ

1.はじめに

個人のクリニックと医療法人を比べた場合、医療法人の方が節税対策でできることは多いのですが、個人のクリニック院長でもできる限りの節税をしたいとお考えの方も多いと思います。本日は個人のクリニックにおける代表的な節税の方法をご紹介したいと思います。
なお、この記事では年間利益が2000万円を超えるクリニックを想定し節税対策をご紹介していきます。
まず、節税の基本的なやり方としては、以下の3つが主な対策方法となります。

1.所得の分散

2.除却(資産を破棄すること)

3.設備投資

これらを順番に説明していきましょう。


2.所得の分散でできる節税

個人クリニックの場合、ご主人がドクターで、奥様もそのクリニックで働かれているというところは非常に多いです。
奥様は受付や経理事務をされていたり、看護師や歯科衛生士として現場に立たれていたりと状況は様々ですが、その場合、奥様には「専従者給与」を支給するとよいでしょう。専従者給与とは、個人事業主が事業専従者(家族など)に支給する給与や賞与のことで、支給した金額を全額経費にすることができます。すると、クリニックに最終的に残る利益(個人の場合これが経営者であるご主人の所得となります)を抑えることができ、結果的に節税につながります。

ポイントとなるのは、その「専従者給与」をどの程度支給できるかという点です。
例えば、奥様が受付や経理をされているのであれば、年間480万円前後を目安と考えます。
さらに、看護師でしたら800万前後、歯科衛生士だったら600万前後、歯科助手だったら受付を兼務して480万前後が目安といったところではないでしょうか。

実際に仕事をされている内容によって妥当な額を設定しないといけないのは当然ですが、例えば600万くらいの専従者給与を出しても問題ないくらいの仕事をしている経営者の奥様に、300万しか専従者給与を支給していない場合は、その額に増額することで節税となり、世帯の可処分所得は増えるということになります。

ちなみに、専従者給与を支給する場合、「青色事業専従者給与に関する届出」というものが必要です。支給額がそこに記載されていて、見直しする時は、その額がいくらになっているかを確認するとよいでしょう。



2.除却でできる節税

医院には数々の医療機器などの資産があると思いますが、それらの中で使用していないものがあれば、資産を廃棄する、つまり「除却を行う」ことで節税できる場合があります。

例をあげると、

・開業時に、骨密度を計る機械を購入したが、開業した後実際にはほとんど使う機会がなく、奥の倉庫で眠っている。

・歯科でホワイトニングに力を入れようと思って、ホワイトニングの機械を買ったが、最初の頃だけ使って、しばらくしたらホームホワイトニングばかり勧めることになり全く使わなくなった。

などのケースが該当します。

このように全く使わない資産があれば、それを廃棄する(除却する)ことで節税につながることがあります。
では、なぜ除却を行うことで節税につながるかを説明しましょう。

医院で50万円の医療機器(耐用年数5年)を買ったとします。
50万の機器を買って、それの耐用年数が5年だったとしたら、購入した時に50万円支払ったとしてもその全てがその期に経費となるわけではありません。

購入時に一旦資産計上されるので資産が50万円増えて、概算で言うと、毎年10万円ずつ経費となり(減価償却費)、資産が10万円ずつ目減りしていくということになります。

つまり通常は購入費50万円を一気に経費にしたくてもできず、毎年少しずつ経費計上して5年経ってようやく全てを経費計上できるというわけです。
ここで、仮に購入して2年目にその機器をもう使わないから廃棄しても良いとなったとします。
それで実際に廃棄した(除却した)場合は、1年目に経費計上した10万円を引いた残り40万を一度に経費できるというわけです。

廃棄した年に残存価格を一括で経費にできるので節税になるというわけですね。これが除却による節税の一例です。

ちなみに、廃棄する場合は医療機器メーカーなどに依頼して廃棄されることがほとんどだと思いますが、有姿除却といって、実際には医院にまだ機器が置いておきながら廃棄扱いにする(除却する)という場合もあります。ただしその場合は、実際に使用できない状況である証明が必要となってきます。メンテナンスをしていないとか、分解されている等といった実態が必要です。


4.設備投資でできる節税

3つ目の方法は投資です。
1つあたり30万円未満の資産の購入をすると、その金額は全額経費(全額必要経費)になります。(ただし年間300万円まで)

もちろん医院に必要な資産ということに限られますし、青色申告を行っているというのが条件ですが、今後必要な投資を行うことで最終利益を減らして節税につなげるというとてもオーソドックスな方法です。

さらに、税制を上手に使うということも重要です。
例えば時限的な制度ではありますが、中小企業経営強化税制という制度は、要件を満たす設備投資を行った際に、通常の減価償却による経費化よりも早く経費計上できますので節税につながります。

また、スタッフの給料を年々上げていらっしゃる医院では、その支払給与の上昇を利用して税金をおさえることができる制度もあります。
所得拡大促進税制(R5年からは賃上げ促進税制に改正)というもので、R4年現在、個人事業主はR6年分までの時限制度となっていますが、このような情報をご存知のドクターは積極的に利用して節税を行っていらっしゃいます。

ちなみに、所得拡大促進税制は、人材確保等促進税制という制度との選択適用(どちらか片方しか使えない)ことになるのでそこは気をつけていただきたい点の一つですし、要件が非常に細かいので、必ず顧問税理士に確認をするようにして下さい。


5.まとめ

本日は、個人の医院・クリニックで活用できる節税対策についてご紹介いたしました。
もし何かご不明な点があれば、下記連絡先までお気軽にお問い合わせください。

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『医療法人が活用できる節税対策5選』
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