Contents
1. はじめに
国税庁はインボイス制度に関する「令和8年度税制改正特集」ページ等を更新し、令和8年度に創設された「特定金属くず特例」の適用開始時期を「令和8年9月1日以後」と明確化しました。
一見するとリサイクル業者向けのニッチな改正に見えますが、実は医科・歯科・介護業界にとっても無関係ではありません。
2. 医科・歯科・介護業界と「金属くず取引」の関係
社会保険診療や介護保険サービスは消費税が「非課税」となるため、医科・歯科クリニックや介護施設の多くは、インボイスを発行できない「免税事業者」となっています。
一方で、これらの現場からは特殊な金属くずが定期的に発生し、専門の回収業者等に売却されています。
これらを買い取る業者側から見れば、「インボイス発行事業者ではない相手(医療・介護施設)からの仕入れ」となるため、原則として仕入税額控除ができないという問題が生じます。
3. 医療・介護の現場を支える「特定金属くず特例」
このようなインボイスのない取引において、買い手側の仕入税額控除を救済するのが今回の「特定金属くず特例」です。
令和8年度税制改正により、「金属盗対策法」に規定される特定金属くずについて従来の「古物商特例」等から切り離されました。
本特例では、金属盗対策法上の「特定金属くず買受業の届出」を行っている買取業者が、免税事業者(クリニックや介護施設など)から「棚卸資産(消耗品を除く)」として対象の金属くずを買い受ける場合、一定の帳簿保存のみで仕入税額控除が認められます。
つまり、この特例があることで、業者は医療・介護施設に対して消費税分の減額要求などをすることなく、これまで通りのスムーズな買取取引を継続しやすくなります。
4. 令和8年9月以降の「帳簿要件」と現場への影響
これに伴い、クリニックや介護施設(売り手側)にはどのような影響があるでしょうか。
特例の適用と金属盗対策法の本人確認ルールを遵守するため、買取業者からこれまで以上に厳密な所在地確認や、取引ごとの書類への署名・記名などを求められる可能性があります。
5. 双方の事業者が確認すべき実務ポイント
| 立場 | 対応のポイント |
|---|---|
| 買取業者側 (買い手) |
自社が金属盗対策法の届出対象かを確認し、医療機器や介護用品の廃材が本特例の「特定金属くず」に該当するかを判定する。また、対象取引について、クリニック等の名称だけでなく「所在地」を帳簿へ確実に記載できるようシステムや台帳を見直す。 |
| 医科・歯科・介護施設側 (売り手) |
自社が金属を売却する際、取引先の買取業者が適法な届出業者であるかを確認する。また、業者からインボイス制度や金属盗対策法を理由とした手続き(所在地確認など)を求められた際は、制度趣旨を理解し円滑に協力できる社内体制を整える。 |
取引先である買取業者の税務処理(仕入税額控除)が適正に行われることは、ひいてはクリニックや施設側の適正な売却価格の維持にもつながります。
令和8年9月以降の新たな取引ルールに向け、関係する双方が制度への理解を深めておくことが大切です。
- 病院・クリニックの方へ
- 歯科の方へ
- 新規開業をお考えの方へ
- 医療法人設立をお考えへ
- 事業承継・相続・売却をお考えの方へ
グループのサービスご紹介




















