ご自分の相続人や法定相続分、正しく理解できていますか?
1.はじめに
自分の相続人が誰かわからない、誤って認識している、という方は意外といらっしゃいます。誤った認識のまま相続が発生してしまうと、事業の引継ぎがうまくいかないだけでなく、預貯金口座の解約や不動産の名義変更といった基本的な手続きさえできなくなる可能性があります。
今回は自分の相続人やその方々の法定相続分を改めてご確認頂ければと思います。
2.法定相続人と財産の分け方
法定相続人とは、民法で定められている、亡くなった方(被相続人)の財産を相続する権利を持つ人のことです。配偶者は常に相続人となり、第一順位は子、第二順位は親、第三順位は兄弟姉妹です。
相続人が配偶者と子であれば、法定相続分は、配偶者が1/2、子が1/2となります。
(子が3人いれば1/2を3人で分けますので1/6ずつ、4人いれば1/2を4人で分けますので1/8ずつ)
子供がおらず、親が健在の場合、相続人は配偶者と親になり、法定相続分は、配偶者が2/3、親が1/3となります。
(両親がいれば1/3を2人で分けますので1/6ずつ)
子供も親もいない場合、相続人は配偶者と兄弟姉妹になり、法定相続分は、配偶者が3/4、兄弟姉妹が1/4となります。
(亡くなった方以外にきょうだい2人なら1/4を2人で分けますので1/8ずつ、亡くなった方以外にきょうだい3人なら1/4を3人で分けますので1/12ずつ)
また、相続人である子が、被相続人の相続発生時点で既に死亡している場合は、孫が相続人となります。相続人である兄弟姉妹が、被相続人の相続発生時点で既に死亡している場合は、甥姪が相続人となります。これを代襲相続といいます。
※内縁関係の方は相続人に含まれません。
これを踏まえ、誰が相続人になるか、法定相続分はどれだけあるのか、を理解していなかったが故に、相続トラブルが起こってしまったケースをご紹介致します。
3.実際にあった相続トラブルの事例
離婚後、再婚していない場合のトラブル事例
被相続人である長男Aは離婚後、何十年もの間、子Bと一緒に生活しておらず、会うことすらありませんでした。こういった場合、きょうだいが面倒をみて、最後を看取るといったことは珍しくありません。こちらのご家族も、長女C、二女Dが、長男Aの生前のお世話をしていました。相続が発生し、葬儀が終わったあと、当然のように長女C、二女Dが金融機関へ預貯金解約手続きに行ったら、、、「あなたは相続人でないから預貯金の引き出しはできません」と言われ驚いたそうです。
この事例の場合、長男Aが亡くなると、長い間顔を合わせていない、一緒に生活していない、などは関係なく、相続人は子Bのみとなります。
子供がいない夫婦の場合のトラブル事例
子供がいない夫婦で、夫が若くして急に亡くなってしまった方がいらっしゃいました。妻Aは、財産は当然自分が全部相続できると思い込んでいましたが、夫の母Bが健在だったため、法定相続分は妻Aが2/3、母Bが1/3となり、1/3は相続することができませんでした。この時母Bが「私はいらないよ」と言ってくれれば全て妻Aが相続することができたのですが、母Bは認知症で判断能力がなかったため、法定相続通りの遺産分割になってしまったということです。一生懸命夫婦2人で貯めたお金なのに何で自分が相続できないのかと妻Aは泣いてました。しかも母Bの相続発生後は、妻Aは相続人にならないため、その1/3の財産は、長女C、二女D(被相続人のきょうだい)の方にいってしまいました。
3.最後に
事例とは違う形であっても遺族がスムーズに相続手続きを行うことができるように、元気なうちに遺言書を残しておくなど、生前に何かしら対策を講じておくことは非常に重要です。自分にもしもの事が起こった場合、誰が相続人になるのか、是非ご確認頂ければと思います。
トラブルになる前に一度(一社)相続手続支援センター長崎までご相談下さい。
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