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2022/02/08

残された配偶者の居住権を保護する「配偶者居住権」とは?

配偶者居住権,相続,住居

1.配偶者居住権制度創設の背景

近年、日本では高齢化や寿命が延びたことで、配偶者が被相続人の死亡後も長期にわたって生活を続けていくことを考えなくてはならなくなりました。
もちろん、被相続人との住み慣れた自宅を配偶者が相続し、住み続けることもできます。
しかし、相続財産のほとんどが自宅で、現金などが少ない場合、配偶者が自宅を相続すると、その後の生活費となる現金等が相続できなくなります。これでは困りますよね。
また、家族関係の多様化で、「被相続人が再婚で前妻との間には子供がいるが後妻との間には子供がいない。後妻が亡くなるまでは我が家に住み続けて欲しいが、亡くなった後は子に引き継がせたい」など、さまざまなケースが出てきています。

配偶者居住権
          出典:前橋地方法務局「配偶者居住権」より
https://houmukyoku.moj.go.jp/maebashi/page000001_00235.pdf

このような背景から、配偶者が亡くなるまで、所有権を相続するよりも低価で自宅に住み続ける権利を確保できる制度として令和2年4月1日、「配偶者居住権」が創設されました。


2.配偶者居住権の成立要件

まず、成立するための前提として以下の要件を満たすことが必要となります。

① 配偶者が相続時に建物に居住していたこと
② 配偶者居住権を取得させる「遺産分割」「遺贈」または「死因贈与」がされたこと
③ 2020年4月1日以降に開始する相続であること


3.配偶者居住権とは?

配偶者居住権の内容もきちんと把握しておきましょう。

①配偶者居住権の存続期間

配偶者の終身の間(但し、期間を定めることもできる)

②配偶者居住権の内容

・建物を無償で使用及び収益することができるが所有者の承諾なく、他人に建物を貸して、収益を得ることはできない
・配偶者居住権を譲渡できない
・建物の修繕費や固定資産税などを負担しなければならない
・配偶者居住権は登記しなければ、第三者に主張できない
・配偶者居住権を設定すると、建物の財産評価額が「配偶者居住権部分」「所有権部分」に分離されるため、「通常の所有権」で取得するより評価が低価となるため、現金などの財産を相続しやすくなる


4.設定において気をつけておきたいこと

いくつか注意点がありますので、把握が必要です。

①配偶者居住権は、譲渡、売却ができない
②賃貸などをする場合は、所有者の承諾が必要
③配偶者居住権が設定された建物の所有者は売却が難しい


5.配偶者居住権の消滅

下記の場合、配偶者居住権は消滅します。

①配偶者の死亡または存続期間の満了
②建物が消滅、倒壊などで使用が不可能となったとき
③配偶者が各種義務に違反し、所有者が消滅させた場合
④配偶者が配偶者居住権を放棄したとき
⑤配偶者と所有者が消滅の合意をしたとき

上記、③、④、⑤により、配偶者居住権が消滅した場合、所有者は配偶者居住権の負担のない完全な所有権となるため、税法上は「居住権」という権利を譲渡取得したとされ、無償の場合は「贈与」、有償の場合は、売買として税金が課されることがありますので、要注意です。

また、配偶者が認知症などになったときは、成年後見人の選任などが必要となり、④、⑤も簡単にはできなくなります。


6.最後に

配偶者に住む家を確保して、安心してもらうための制度ですが、出口を想定しておかないと「しなければよかった」という結果にもなりかねません。
特に、配偶者が認知症になって、介護施設に入居することになるような場合や配偶者と所有者が親子でない場合などは、その後の居住権の譲渡の可否など、対策にも支障が出ることが予想されますので、最初の設定段階で様々な将来像を想定しておく必要があると思います。

また、配偶者居住権の設定にあたっては、配偶者居住権の価額の算定や登記など専門的な知識が必要な部分が多くあります。必ず税理士、司法書士などの専門家に相談したうえで、設定するようにしてください。


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