基金を返してもらうことはできるの?
Contents
1.はじめに
2007年4月1日以後、出資持分ありの医療法人の設立ができなくなったことで、それ以降に医療法人を設立された方の大半は持分の定めのない医療法人の一形態である「基金拠出型医療法人」となりました。
2.基金拠出型医療法人の「基金」とは?
基金拠出型医療法人の「基金」とは、社団医療法人に拠出された金銭その他の財産であって、当該医療法人が拠出者に対して医療法施行規則第30条の37及び第30条の38並びに当該医療法人と当該拠出者との間の合意の定めるところに従い返還義務を負うものをいいます。
簡単に言いますと、拠出者(個人)側からすると貸付金、法人側からすると借入金の一種です。基金に利息をつけることはできません。通常、借入金は法人の貸借対照表の負債の部に計上されますが、基金の場合は、純資産に計上されます。
3.基金を返還してもらうためには?
先生方の中には、基金を返還してもらえることをご存知でない方や、そもそも法人に貸し付けているということを認識されていないか方もいらっしゃいます。
基金については、一定の条件を満たすと返還することが可能です。条件とは大きくわけて2つです。
基金拠出契約で合意した「基金を返還しない期間」を超えていること
1つは、基金拠出契約で合意した「基金を返還しない期間」を超えていることです。基金拠出型の医療法人を設立する際には、必ず基金拠出契約書を作成されています。その契約書には「甲は、令和(または平成)◯年◯月◯日までは拠出された基金を返還しない」と記載されていますので、その期日を経過するまでは、返還ができません。言い換えると、期日を過ぎると基金を返還することが可能です。
前期末の貸借対照表の純資産額が、基金と資本剰余金を超える場合
2つ目は、前期末の貸借対照表の純資産額が、基金(代替基金を含む)と資本剰余金を超える場合にその超過額が限度となります。
そのため、純資産額が基金の額を下回っている場合は、基金の返還はできません。
4.最後に
基金を返還する場合は、定時社員総会での承認が必要となります。また、基金返還したときの会計処理は、返還した額の基金を取り崩して、代わりに代替基金を計上するなどといった特有の処理が発生しますので、基金の返還を検討される際は、顧問税理士、または弊社スタッフにご相談ください。
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