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2022/06/09

理事長が退職後も勤務する場合の退職金はどうなる?

医療法人,理事長,退職金

1.はじめに

普段からクリニックの先生方と多数お話させていただく中で、非常にご相談が多いのが「承継」についての問題です。事業承継などで、理事長職を親から子へ譲り、それに伴い前理事長がクリニックを完全に退職した場合は何の問題もありませんが、現実には前理事長が医院に残るケースも少なくありません。前理事長が勤務されること自体には問題はありませんが、理事長変更に伴い退職金を支給した場合には、退職金の否認リスクを抱えることになるので注意が必要です。
本日は、クリニックの理事長が退職後も勤務を続ける場合の退職金の扱い方についてご説明いたします。


2.退職金は税制上優遇されている!?

実はご存知ない方も多くいらっしゃるのですが、退職金は税制上大変優遇されています。それは、長年の勤労に対する報奨や退職後の生活保障という意味合いが考慮されているからです。そして実際に、退職金は退職所得控除を差し引いた金額の1/2だけが課税対象となります。

退職所得控除は次のように計算します。

勤続年数が20年以下の場合

40万円✕勤続年数

勤続年数が20年超の場合

800万円+70万円✕(勤続年数-20年)

具体例を挙げますと、
・勤続年数25年、退職金5,000万円の場合の退職所得は、
5,000万円-{800万円+70万円✕(25年-20年)}✕1/2= 1,925万円
となります。

役員報酬で受け取った場合は5,000万円のほぼ全額が課税対象となり、税額(所得税・住民税)に換算すると1,500万円ほどの違いが出てきます。

また、退職金は過大と判断された部分は法人の税務申告にて必要経費にすることができませんが、一般的には以下の算式によって計算された上限額内であれば問題がないとされています。

上限額 = 最終報酬月額 ✕ 在籍年数 ✕ 功績倍率

ただし、最終報酬月額だけを極端に上げている場合などは否認されたケースもありますので、詳しくは顧問税理士等にお尋ねください。


3.退職後も勤務を続ける場合はどうなる?

上記は、一般的な退職金支給のケースについてご紹介しました。ですが、実際にクリニックでよくあるのは「前理事長が退職後も医院に残るケース」です。その場合、退職金の取り扱い方も変わってきますので注意が必要です。

理事長や理事がその地位を退いた後も、引き続き法人に在籍して業務を行うことを「分掌変更」と言います。この場合は完全に退職しているわけではないため、理事長職の辞任に際して支払った退職金は法人税法上、損金算入が認められないのが原則です。ただし、以下のような場合で、「実質的に退職したと同様の事情にあると認められる場合」には、分掌変更による退職金の支給が法人税法上の損金として認められることになります(法人税法基本通達9-2-32)

(1) 常勤役員が非常勤役員になったこと。
ただし、常勤していなくても代表権があったり、実質的にその法人の経営上主要な地位にある場合は除かれます。
(2) 取締役が監査役(医療法人においては監事等)になったこと。
ただし、監査役でありながら実質的にその法人の経営上主要な地位を占めている場合や、使用人兼務役員として認められない大株主である場合は除かれます。
(3) 分掌変更の後の役員の給与がおおむね50パーセント以上減少したこと。
ただし、分掌変更の後においても、その法人の経営上主要な地位を占めていると認められる場合は除かれます。

(国税庁HPより)

実際の税務調査においては、上記に一つでも当てはまれば良いとか、全てに当てはまらないといけないということはなく、前理事長の理事長退任後の業務内容等も踏まえて「総合的に判断する」ことになります。具体的には、前述の基本通達の内容と併せて、以下のような点も判断材料となります。

・理事長職退任後の出勤状況
・金融機関との折衝等を行っていないか
・従業員の採用や給与・賞与の査定に関わっていないか
・設備投資や経費の支払いについて決済を行っていないか
・経営上重要な判断に関わっていないか

特に前理事長の裁量が大きい場合には、「経営上主要な地位にある」と判断され、退職金の支給が損金として認められない事態にもなりかねません。


4.まとめ

いかがでしたでしょうか?
日々の診療においてはできるだけ新理事長の意思が反映されるような仕組みを構築し、前理事長の権限はできるだけ制限することが、税務上のリスクヘッジとしては望ましいと言えるでしょう。理事長の退職金について、ご相談したいことがありましたら弊社までお気軽にご連絡ください。



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