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2020/01/17

先代の院長と事務長の退職金はどう算定したらいいのか

先代の院長と事務長(両親)に退職金を支払いたいと思います。退職金の算定はどのようにしたら良いですか?

 

退職金はもらえるのであればできる限りもらいたいものです。
人生100年時代と言われて久しいこの時代ですので、引退後の老後資金はあるに越したことはありません。
しかし闇雲に退職金を支払うと税務署に経費として認められなかったり、思わぬ税金が発生したりしますので、退職金の算定と税金についてご説明したいと思います。

 

まず知っておかなければいけないのは退職金は個人診療所では院長(事業主)の退職金は経費として認められません。ですのでここでは医療法人での取り扱いについて説明をします。
退職金を支払うにはまず「役員(理事)退職金規定」を作成し、その規定に沿って退職金額を決定します。退職金は支払えるのであればいくら支払ってもいいのですが、一定のルールに従って算定したほうが経費としてトラブルなく税務署に認められやすい傾向にあります。

 

理事退職金の算定方法は法人で自由に決めてよいのですが、実務上よく目にするのが下記の算定式です。税務署から「過度な退職金」とみなされないひとつの基準となっているのがよく使われる理由の一つです。

最終報酬月額 × 理事勤続年数 × 功績倍率

 

例えば退任前の理事報酬の月額200万、理事としての勤続年数30年、功績倍率3.0の場合、税務上適正とみなされる退職金の額は下記になります。

200万 × 30年 × 3.0 = 1億8千万

 

ただし功績倍率には注意が必要です。税法には実は適正とされる功績倍率は明記されていませんので「この倍率だからOK」というのはありません。
しかし実務上理事長が3.0程度の倍率であれば税務調査で認められるケースがほとんどですので、この数字を基準に規程を検討されると良いでしょう。
最終的には顧問の税理士に相談することをお勧めします。

 

また退職金の税金を計算する場合の特徴として「退職所得控除」と「退職所得×1/2」があげられます。退職金がそれ程必要ない方は税金が発生しない範囲内で支給額を検討されるケースもあります。
「退職金には税金がかからないよ」と耳にした方がいるかも知れませんが、正確には間違いで、退職所得控除が大きいので、一般的なサラリーマン程度であれば税金が発生するケースがほとんどないという事です。また仮に退職所得控除で控除しきれなかった場合でも、
二分の一を掛けて退職所得の所得税を計算しますので給料でもらうよりも大きく税金負担を減らす事ができます。退職所得控除は控除割合が大きいので、一度に多額のお金を貰う場合には賞与よりも退職金としてもらう方が所得税が断然安くなります。

 ▼退職所得控除
 ☆勤続年数が20年以下の場合の退職所得控除
  勤続年数 × 40万
 ☆勤続年数が20年超の場合の退職所得控除
  800万 + 70万×(勤続年数-20年)

 ▼退職所得の計算
 (退職金 - 退職所得控除) ×1/2

 

前述の退職金を例にして退職所得を計算すると下記のようになります。

〔1億8千万 - [800万 +(70万×10年)]〕×1/2 = 8,250万 ・・・ 退職所得
この場合の退職所得に係る所得税・住民税は約4,125万ですので手取りは1億3,875万となります。実効税率は約23%になります。
給与・賞与としてもらった場合の税額は約8,700万、税率は約48%ですので半分以下の負担になります。
1億8千万受け取っても税金の計算は8,250万に対して行うのでかなりお得です。


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