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2021/04/05

医療法人の出資持分対策について

1, はじめに

出資持分有り法人を継続する場合において、後継者へ医療法人を引き継いでいく際、または、理事長先生の相続が発生した際に大きな問題となるのが「医療法人出資持分評価額」です。

承継の際には、出資持分の譲渡価格または贈与税額、相続の際には相続税対象額とどちらの場合であっても浮上する問題となります。

       
今回は「医療法人の出資持分対策」についてお伝え致します。


2, 医療法人の出資持分の主な評価方法

まず、医療法人の出資持分の主な評価方法は以下の通りとなります。

i)純資産価額方式

「医療法人を今解散するとしたら、いくらの価値が残るか?」という観点から評価する方法。

ii)類似業種比準方式

「医療法人がもし上場したとしたら」という考え方で評価する方法。



上記、1と2を併用し、規模に応じた割合によって評価額を決定するようになります。


3, 対策について

<純資産価額方式に対する対策>
● 理事長退職金の支給
● 建物の建替(取得後3年間は注意)
● 生命保険の活用
● 含み益資産の子会社化



<類似業種比準方式に対する対策>

直近決算を赤字にする(※2期連続注意)

1, 退職金の支給
2, 含み損のある資産を売却
3, 事前確定届出給与の活用
4, オペレーティング・リースの活用
5, 入院費等の回収不能分を債権放棄

会社規模の見直し

従業員数、売上金額、総資産額により規模を判定し、基本的には大きくなるほど上場企業に近づくため、下がりやすくなります。
また、従業員数については、70名を超えるか超えないかで評価額に大きな違いがあります。

日経平均株価

類似業種比準方式による評価は、評価方法の性質上日経平均株価に左右されます。
そのため、日経平均株価が低い時の方が医療法人の出資持分評価も下がるようになります。


4, 出資持分対策を行う際の注意点

Ⅰ) 建物の建替え等、不動産による対策を実施する場合

取得後3年間は取得価格にて評価をしなければならないため、注意が必要です。

        

Ⅱ)2期連続の赤字

対策を実施したために2期連続の赤字となってしまった場合、逆に出資持分が上がる場合があるので注意が必要です。

      

Ⅲ)認定医療法人の活用

出資持分対策が取れない場合等、認定医療法人を活用し、出資持分なし医療法人に変更する方法もございます。
ただし、実行してしまうと出資持分有り法人に戻すことができませんので、注意が必要です。


5, 最後に

出資持分対策については以上です。
        
貴医療法人が出資持分対策を行う必要があるかどうかは、担当されている税理士にシミュレーションを委託されて下さい。
また、簡易的に評価額をお知りになりたい場合は、毎月の作成する「貸借対照表」に記載されている「純資産の部」という金額が概ね純資産価額方式による金額となりますので、一度ご確認されてみて下さい。


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