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2016/04/15

ご親族への事業継承の際、建物は新しくしたほうが良い?

はじめに

開業医にとって、避けては通れない大きな課題があります。それはクリニックの事業承継という大きなテーマです。

事業を廃業せずに承継するのか。誰に承継するのか。いつ継承するのかなどさまざまな角度から熟慮を重ね、最終的には結論を出さなければなりません。

今回はクリニックの事業承継のパターンとして個人診療所が現在開設しているクリニックを廃業することなく親族への事業承継するケースを考えていきましょう。

開業医としての社会的使命を考え、診療所が永続的に発展できるように生前に事業承継対策をしっかりと考えておくことが大切です。

 

事前対策必須の事業継承

 

一般論として、医院をリニューアルしたほうがいいかどうかは、老朽化の程度、周囲の競合医院の状況や医院の財務状態、今後の方針などを総合的に判断する必要があります。事業承継をされる場合、事業で使用している財産、例えば土地や建物、医療用器機の所有権は個人経営であれば個人所有のものであり相続の対象となります。医療法人で所有しているものであればその財産自体は相続の対象となりませんが、医療法人への出資持分が相続の対象となります。個人事業のまま、ご子息に継がせる場合ですと、相続・贈与対策という観点からも準備を進めていく必要がありそうです。

相続になった時、原則として亡くなった方の所有する財産は、相続人への分割対象となります。したがって、事業を継続するために必要な事業用財産も分割対象に含まれることになります。後継者以外の相続人に分割されると事業承継できない場合も想定されます。永続的な医療の継続という社会的使命のためにも、生前贈与や遺言等事前対策が大切になってきます。

 

相続税対策として新たな固定資産を購入

 

相続税の計算は、株価評価に対して、税金が決まってきます。株価というのは時価ベースで計算されます。よって、株価自体、純資産に連動しますので、純資産を減少させることが節税に効いてきます。

したがって、資産、負債、純資産の部があって、ご子息に事業を継がせる場合(事業承継)は、純資産の部をできるだけ少なくしたほうが贈与税や相続税も抑えることができることになります。

相続税対策として新たに固定資産を購入するとします。固定資産を購入すると、市町村が毎年、固定資産評価をします。固定資産は時間が経つにつれ、その評価は下がっていきますので、固定資産評価額が減少すれば、それに伴い純資産の部もバランスして減少します。

課税対象は株価になりますので、純資産の減少が株価減少につながり、課税対象が小さくなることを意味するため、結果として節税になります。

 

但し、個人の場合は購入してすぐに固定資産評価額が60~70%になりますが、法人の場合は購入して3年以内は固定資産評価額が落ちないというルールがあります。法人の場合、3年間は実勢価格のため建物を建てて、3年経過し、課税対象額を減額させてから、相続や事業継承を行うケースが多く見られます。このようにして、建物も新しくなるし、節税効果にもなるので、ご子息に医院を継がせる際には、節税の観点から見ると医院を新しくしたほうが良いという見方があります。


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医業継続にかかる相続税・贈与税の納税猶予等の特例措置として、平成26年度税制改正において、新たに医療法人の持分にかかる相続税・贈与税の納税猶予等の特例措置が創設されました。これは、持分あり医療法人の出資者の死亡によって相続が発生する等により医業の継続に支障をきたすことがないように、期限(最長3年間)を定めて持分なし医療法人への移行を進める医療法人について、移行期間中の相続税・贈与税にかかる納税を猶予し、また、移行後に猶予税額を免除するものです。

 

まとめ

 

事業継承や相続を考えるときに、相続税の節税という観点から見ると、医院を新しくするというのは節税対策になります。そこで、気をつけたいのは固定資産取得のタイミングです。

個人の場合はすぐに固定資産評価額が減少するので問題はありませんが、法人の場合は購入して3年は固定資産評価額が落ちないため、株を譲り渡す前に固定資産を購入し、固定資産評価額が減少した時点で株式譲渡をするといいでしょう。

ただ、今回の件は相続や事業継承などの観点からの評価であり、実際には他の要素も考慮する必要がありますので、詳しくは専門の税理士に相談されることをおすすめします。

以上、ご親族への事業継承の際、建物は新しくしたほうが良いのかについて知っておきたい基礎的なポイントをご説明してきましたが、いかがでしたか。クリニックの事業継承や相続ではしなければいけないことが沢山ありますので、お一人で悩まず、税法(相続税贈与税等)や医療法などの専門知識も必要となりますので信頼できる税理士等のよきパートナーとご一緒に考えていくことをおすすめします。もっと詳しく知りたい、クリニックの経営について的確なアドバイスをご希望の方は、年間数十件の開業支援を行っている実績から顧問先のクリニック経営実績のエビデンスをもつ税理士法人アップパートナーズにご遠慮なくお問い合わせください。ご相談を随時お受けしておりますので、経験に基づいた独自のサービスをご提供させていただきます。


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