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2022/11/17

その相続税対策大丈夫?総則6項

1.はじめに

相続税の対策で、借金をしてマンションを建設すると相続税が安くなる、という話を聞いたことがないでしょうか。相続税は取得した財産の価額から債務の額を控除した純財産
に課税します。マンションは固定資産税評価(概ね取得価額より低く評価され、場合によっては半額以下の評価となります)で評価、借金は額面で評価するため差引で純財産が
マイナスになるという仕組みです。多くの場合このスキームで実際に相続税が安くなります、ただしこれを過度にやり過ぎると、課税庁が国税庁長官の指示により評価を引き直す
ことのできる規定、通称「総則6項」により相続税申告を更正されてしまう場合があります。

2.相続税の財産評価は財産評価基本通達による

相続税法では、財産の価額は、取得の時における時価によるとされています。そして時価の意義は財産評価基本通達において「この通達の定めによって評価した価額による。」
と規定されています。つまり実務上は財産評価基本通達により評価した金額を時価とし、この評価額をもって相続税の計算をすることになります。
財産評価基本通達には財産の種類ごとに評価方法が規定されており、例えばマンションであれば家屋は固定資産税評価、土地については路線価等で評価すると定められています。特段論点のない物件であれば、固定資産税評価と路線価で評価し相続税の計算をすると申告が完了となります。
しかし中には規定通り評価したにも関わらず、申告が通らないケースが存在します。


3.総則6項とは

財産評価基本通達6項(総則6項)には、「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。」と規定さ
れています。マンションを例にした場合、原則は固定資産税評価で評価をしますが、その評価額が「著しく不適当である」と税務署が判断した場合には、税務署の評価した金額(
鑑定評価等)を時価として相続税の申告をやり直すリスクがあるということになります。例えば5億円で購入したマンションを1億円で申告したが、その後総則6項の適用を受けて
5億円に更正処分を受けたケースなどがあります。
総則6項は、

①通達形式適用の合理性の欠如

②他に合理的評価方法が存在する

③時価との著しい乖離

④納税者の行為に租税回避の意図

の4つを構成要件としています。

従前は相続開始直後に売却をしなければ大丈夫と言われる時期もありましたが、近年の判例では相続開始後継続保有しているマンションまでもが時価の引き直しにあっていま
す。また審判所裁決にはなりますが、納税者の行為に全く租税回避の意図がない非上場株式の評価についても、他の要件を充足しているとして時価の引き直しにあっています。


4.今後の相続税対策

これまでも相続後すぐに売却するような不動産の購入はリスクが高いと言われてきましたが、今後は未売却の不動産についても時価の引き直しのリスクが一層高まるものと考えられます。 従前のように相続後も継続保有する、融資の銀行稟議に気をつける、等では対策として不十分となりつつあります。総則6項を意識して、金額の乖離のインパクトや過度な節税とみなされないためのプランニングなど、今後はより早期からの対策やスケジューリングが必須となるものと考えられます。できるだけ早期に税務担当者ご相談いただければ幸いです。



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