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2022/08/05

【補助金採択】クリニックが知っておくべき圧縮記帳の仕組み

※2026/4/7更新

1. はじめに

クリニックの設備投資やシステム導入において、デジタル化・AI導入補助金などの活用が欠かせない時代になりました。しかし、『やった!補助金が採択された!』と喜んでそのままにしていると、もらった補助金の約30%を法人税として国に持っていかれてしまうのをご存知でしょうか?本日は、補助金にかかる税金を合法的にゼロにする『圧縮記帳』の仕組みを解説します。

2. 補助金には法人税(所得税)がかかる!

クリニックの設備投資のために国や自治体から支給される補助金。実は、受け取った補助金は非課税(タダでもらえるお金)ではなく、課税対象の収入になるのです。

税法のルールにおいて、入金された補助金は医療法人の場合は「益金」、個人クリニックの場合は「事業所得の総収入金額」として扱われます。つまり、本業の診療報酬などと同じように、クリニックの「利益」として丸ごと計上されてしまうのです。

例えば、300万円のシステムを導入するために、国から200万円の補助金を受け取ったとします。何も対策をせずにそのまま決算(確定申告)を迎えると、この200万円の利益に対して約30%の税金が課せられます。結果として、約60万円を法人税として国に納めなければならず、実質的な手取り額は140万円程度まで減ってしまうのです。

クリニックの未来に向けた設備投資を後押しするために国が用意した制度であるにもかかわらず、「投資を促進するための補助金に”税金がかかることにより投資が進まない”となると本末転倒」と言わざるを得ません。

では、この理不尽とも言える税金の負担を回避し、せっかくの補助金をまるまる投資に活かす方法はないのでしょうか?
そこで登場するのが、法人税法に用意されている「圧縮記帳」という救済ルールです。

3. 法人税法上の圧縮記帳の対象か?

圧縮記帳とは、大まかに言えば、国庫補助金等で取得した資産を「一発で経費に落とす」ことにより、その経費と補助金の利益を相殺し、税金がかからないようにできる制度です(※厳密には細かな経理要件や申告要件があります)。 今回導入されたデジタル化・AI導入補助金なども国庫補助金等に該当するため、要件を満たせばこの圧縮記帳の対象となり、税金による手元資金の目減りを防ぐことができます。

4. 圧縮記帳をした方が良い場合とそうでない場合

圧縮記帳について注意すべきことは、この制度を利用するかどうかは「任意」となっているということです。 制度を利用せずに申告すると、「制度を利用しないことを選択した」とみなされます。後から適用して申告をやり直すことはできない(当初申告要件)ため、納税申告書を作成する際には税理士とのコミュニケーションが重要となりますのでご注意下さい。

とはいえ、補助額が少額のものについてはその効果も限定的です。影響が少ないものについて制度を利用せずに通常の償却計算を行うことは実務上もよくあります。

圧縮記帳については、IT系補助金に限らず、補助額が莫大なその他の補助金等についても適用の対象となりますので、制度の特性を理解した上で、補助金の種類や金額に応じて適用するか否かの「経営判断」が重要になると考えられます。

5. 個人事業の場合はどうなる?

まれに「個人事業では圧縮記帳の適用がない」との話を耳にすることがあります。たしかに所得税法には圧縮記帳の規定はありませんが、同様の効果をもつ「総収入金額不算入の特例」があります。所得税の申告書に一定の事項を記載することにより「国庫補助金等のうち、固定資産の取得にあてた金額相当額を総収入金額に算入しない」とする特例です。

経費として落とすか、収入から控除するかの違いはありますが、補助金に対して税金がかからなくするという意味では同様の効果があります。

6. まとめ

圧縮記帳に限らず、補助金と税金が密接に関連する場面は多々あります。また、人材に対する投資、物に対する設備投資ともに、様々な税制優遇措置(所得拡大税制や投資促進税制など)が講じられています。

補助金の利用や設備投資の効果を最大限に発揮させるためには、補助金の申請から税務申告までを見据えたトータルな判断が必要です。クリニックの補助金活用や税制優遇にご興味のある院長先生は、ぜひ医療特化の税理士法人アップパートナーズまでお気軽にご相談ください。


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