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2025/12/15

財務分析で見える、あなたのクリニックの健康診断

クリニック経営診断をしてみませんか?
〜財務分析で⾒える、あなたのクリニックの健康状態〜

1.はじめに

クリニック経営において、「感覚」で判断するのではなく、「数字」で自院の状態を把握することが重要です。その手段のひとつが「財務分析」です。財務分析を行うことで、クリニックの経営状態を客観的に診断し、課題を発⾒・改善に繋げることができます。
本記事では、クリニックにおける財務分析の主な4つの視点を紹介します。ご自身のクリニックに当てはめながら、「経営診断」してみませんか?

2.収益性分析:利益は出ているか?

まず確認すべきは、収益性です。
「利益が出ているかどうか」を判断する基本的な指標として、以下が挙げられます。

売上高医業利益率=医業利益 ÷ 医業収入 × 100(%)
売上高経常利益率=経常利益 ÷ 医業収入 × 100(%)

たとえば、売上が上がっているのに利益が増えていない場合、人件費や材料費が増えている可能性があります。定期的に利益率をチェックしましょう。

損益分岐点売上高を把握しよう
さらに重要なのが、「損益分岐点売上高」の確認です。
これは、収入と支出がちょうどトントンになる売上高を指し、「これ以上売上が上がれば⿊字、これ以下なら⾚字」という境界線になります。
下記の計算式で求められます。

損益分岐点売上高=固定費÷(1−変動費率)

例えば、家賃・人件費などの固定費が月300万円、変動費が50%なら、損益分岐点売上高は600万円となります。
つまり、月の売上が600万円を超えると利益がでる構造になっていることを意味します。
この指標を把握しておくことで、「最低いくらの売上を確保すべきか」が明確になり、特に新規開業を考えている先生でしたら、患者さんが一日何人来たら、利益がでるかが把握でき、その後の経営判断もしやすくなります。

3.安全性分析:資金繰りは大丈夫か?

クリニック経営では、資金繰り(キャッシュフロー)が命綱です。
以下の指標で、財務の安定性をチェックできます。

流動比率=流動資産 ÷ 流動負債 × 100(%)
自己資本比率=自己資本 ÷ 総資本 × 100(%)

一般的に、流動比率が100%以上、自己資本比率が30%以上であれば「安全圏」とされますが、クリニックの場合、借入金が多くなりやすいため、こまめな確認が必要です。

4.生産性分析:人・設備の働きはどうか?

次に、人材や設備が効率的に使われているかを分析します。

一人あたり医業収入=医業収入 ÷ 職員数

スタッフ一人あたりの売上が平均を下回っている場合、業務分担や診療の流れに無駄があるかもしれません。定期的に⾒直しましょう。

設備回転率=医業収入 ÷ 有形固定資額(回)

医療機器や建物などの固定資産が、医業収益にどれだけ貢献したかを示す指標です。この数値が高いほど、設備が有効活用され、活発な診療活動が行われていると判断できます。

5.成⻑性分析:前年と比べて伸びているか?

クリニックの成⻑性も重要な視点です。

医業収入増加率=当期売上 − 前期売上 ÷ 前期売上 × 100(%)
医業利益増加率=当期利益 − 前期利益 ÷ 前期利益 × 100(%)

単年だけでなく、3〜5 年の推移を⾒ることで、外部環境変化への対応力も⾒えてきます。

6.おわりに

クリニックの経営状態を知るためには、定期的な財務分析が欠かせません。
「数字が苦手だから…」と敬遠する先生方もいらっしゃいますが、基本的な指標を押さえるだけでも、大きな気づきがあります。経営判断の裏付けとして、財務の“健康診断”を取り入れてみましょう。
専門家に相談したい場合は、医療経営に強い税理士法人アップパートナーズまでお問い合わせください。


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