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2025/07/18

インボイス制度 第2ステージ!医療法人が抑えておくべき3つのポイント

※本記事は、消費税の「原則課税方式」を採用している医療法人・診療所を対象としています。自由診療や物販などの課税売上が一定以上ある歯科医院や美容系クリニック等では、インボイス制度の影響を強く受ける可能性があります。一方で、保険診療が中心の医科診療所など、非課税売上が大半を占める医療機関では影響が限定的となります。
実際の影響度や対応の要否については、個別に申告書や売上構成をご確認のうえ、本内容をご参照ください。

1.はじめに

2023年10月に始まったインボイス制度(適格請求書等保存方式)ですが、実務に少しずつ慣れてきたという医療機関も多いのではないでしょうか。
現在は、導入当初の「経過措置」により、インボイス発行事業者でない免税事業者との取引でも、仕入税額の80%を控除することが認められています。しかし、この経過措置は段階的に縮小されており、2026年10月からは控除率が50%に引き下げられ、最終的に2029年9月末で全額控除不可となります。
つまり、今後3年以内に、免税事業者との取引コストは段階的に実質的な負担増へとつながっていくのです。医療機関では、技工所や清掃業者、個人のコンサルやホームページ業者など、免税事業者との関係が継続している例も少なくありません。
今回は、医療法人が今から備えておくべき3つの税務ポイントをご紹介します。

2.今から備えておくべき3つの税務ポイント

① 取引先の登録番号の確認とリスト化

まずは、支払先が「適格請求書発行事業者」として登録されているかを確認しましょう。請求書への登録番号記載の有無や、国税庁の公表サイトでの検索が判断材料となります。
医療機関では、前述したような業者の内、いまだ免税で登録していないケースが見受けられます。
支払先リストを整備し、インボイス未登録業者の取引金額を洗い出すことが、最初のステップです。

② 免税事業者との取引方針の検討

インボイス未登録の免税事業者との取引は、制度上問題ありません。ですが、制度の段階的縮小により、控除額は現在の80%から2026年10月には50%、2029年10月以降は0%になります。
たとえば、年間300万円の外注費(免税事業者)に対し、現行では約24万円(300万円×10%×80%)を仕入控除できますが、2026年以降は約15万円、2029年以降は控除ゼロとなります。
この変化は、仕入原価の上昇に直結します。取引先を継続するか、登録をお願いするか、他の事業者へ切り替えるかなど、戦略的な判断が必要です。

③ 帳簿・請求書の保存要件を満たせているか確認を

インボイス制度では、請求書の様式や帳簿記録に一定の保存要件が定められています。仮に登録事業者からの請求であっても、書類の記載不備があれば仕入税額控除が否認されるリスクがあります。
主な確認ポイントは次のとおりです:

•適格請求書の登録番号の記載はあるか
•消費税率ごとの税額や内訳の記載があるか
•取引内容・取引先名・金額などが帳簿にも記載されているか

特に紙ベースの請求書や、エクセルで作成された書類が混在している場合は、漏れや不備が起こりやすいため注意が必要です。

3.最後に

経過措置がある今だからこそ、インボイス未登録の取引先の把握と、制度に対応した書類保存の体制整備が重要です。
2026年、そして2029年にかけて、医療法人の消費税負担は段階的に変化していきます。「まだ先の話」と思わず、今のうちに会計処理や外注管理を見直すことが、将来のコスト管理と税務対応において大きな差を生みます。

税理士法人アップパートナーズでは、病院・診療所向けのインボイス制度対応チェックや、外注契約に関する税務助言も行っております。お気軽にご相談ください。


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