相続税の税務調査について
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1.はじめに
クリニックの経営の中で、法人税の税務調査についてはご経験のある先生や周りからの経験談を聞いたことのある先生も多いでしょう。しかし相続税の税務調査は、先生のご親族のどなたかが逝去され、先生や先生の配偶者等がご相続人の立場にならないと、なかなかイメージが湧きづらいものではないでしょうか。そこで今回は相続税の税務調査についてお伝えします。
2.相続税の税務調査の実態
国税庁が公表している数値によりますと、全国の申告件数のおよそ23%の割合で税務調査が入っているそうです。
当社でも年間数十件の相続税申告をしていますが、税務調査に来られることはほとんど(ゼロに近いほど)ありません。なぜなら、極力税務調査に来られないように意識した申告書の作成を心がけているからです。そのためにも税務署がどのような点に注目しやすいのかを知ることが第一歩だと思っています。
3.生前贈与と名義預金に注意
相続税の相談を受ける場合に、必ずお客様にお尋ねする事があります。
それは、「被相続人(故人)から生前に受けた贈与」です。
相続開始前3年以内に故人から贈与を受けた場合
「相続で財産を取得した人」が、被相続人から相続開始前3年以内に贈与を受けた場合、その財産が相続財産に加算され、相続税が課税されます。
「110万円までの贈与は非課税だから、加算しなくていいのでは?」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
この「生前贈与加算」の規定は、3年以内であれば、贈与税が課税されたかどうかに関わらず相続財産に加算されます。したがって、亡くなる直前に相続人に対し急いで110万円以下の非課税贈与をしても節税にはなりません。
相続で財産を取得していない人(孫など)への贈与
生前贈与加算の規定は、「相続により財産を取得した人」に対して行われた贈与が対象ですので、相続で財産を取得していない人への贈与は、たとえ3年以内の贈与でも、相続財産に加算する必要はありません。したがって、亡くなる直前でも、孫に対して贈与することで相続財産を減らすことが可能になります。
そもそも贈与が成立していない場合
■名義預金に該当するケース
税務調査で最も指摘が多いのが「名義預金」です。例えば、預金口座を配偶者や子ども、孫などの名義で開いたが、実際はその通帳や印鑑を被相続人が管理していたようなケースです。この場合、実質的には被相続人の預金と判断され相続財産に加算されます。
税務署は職権で、被相続人だけでなく、相続人その他の親族の口座情報を入手できますので、税務署には口座情報を把握されていると思ったほうが良いでしょう。
税務調査では生前の被相続人の生活の様子やご家族の仲、誰が財産管理をしていたかなど、名義預金に繋がりそうな情報を必ずといっていいほどヒアリングされます。
名義預金の場合時効がないので、たとえその行為が何年前であっても(実務上は10年前程度まで調べられる可能性がある)、相続財産に加算されてしまいます。名義預金と判断されないためのポイントを押さえ、生命保険などを活用し上手に生前贈与することで、結果的にご家族の大切な財産が守られます。
4.最後に
気になる点がございましたら弊社担当者までお気軽にお尋ねください。
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