お気軽にお問い合わせ下さい 092-403-5544
お問い合わせ
                 
クリニック経営ナビは、医科(病院・クリニック)・歯科専門の税理士による情報サイト
メニュー
閉じる
2023/06/26

医療法人成りで個人事業主時代の借入金はどうなる?

1.はじめに

個人事業主としてクリニックを開業されて時の経過と共に、医療法人成りをする事は普通にあると思われます。
その際の主な変更点として

①専従者給与(個人事業主は給与という概念がない)→役員報酬の支給
②国民健康保険→社会保険
(医師(歯科医師)国保を継続して厚生年金保険の場合もあり)
③医療法人を活用した生命保険への加入や決算期の変更等

上記のような変更点があると思われますが、上記以外にも個人事業主時代に借りた借入金について、今後どのように返済するか検討する必要があると思われます。実際に医療法人成りを検討している方から多くの質問を受けるのが個人事業主時代に金融機関から借りた借入金についてです。
具体的な取扱いについては大きく二つに分かれます。


2.医療法人成りに伴う借入金の取り扱いについて

① 医療法人には引き継がない

(今まで通り個人事業主の口座から継続して返済を行う)
補足として、個人事業主の口座に預金が多くある場合は、そもそも借入金を引き継ぐ必要もなく、返済可能だと思われます。弊社からの提案として、個人事業主時代の返済自体はそのまま継続していただく事が多いです。
返済原資として、先述の役員報酬以外に、医療法人から家賃や賃貸料として個人に支払っていただき、その中から返済していただく事が多いです。

②債務引受

(個人事業主時代に金融機関から借りた借入金を医療法人に引き継ぐ)
債務引受は2種類ございます。重畳的債務引受と免責的債務引受があります。借入金を返済するのは双方とも医療法人ですが、債務引受自体を個人も医療法人も一緒にする事が重畳的債務引受で、債務引受を医療法人だけ行う事が免責的債務引受です。実務上は金融機関や保証協会との調整が必要となるようです。

この際の注意点としては、個人事業主の借入を医療法人が変わって支払うことになります。これは、医療法人からすると個人に対する貸付となります。詳細はここでは割愛しますが、特に借入金が多い場合、医療法人の決算書上に「役員貸付金」が発生する可能性があるという事です。又、個人からすると法人に借入金を肩代わりしてもらっている事から「経済的利益」が発生する事となります。
税務上、この経済的利益に対して「役員賞与」として想定外の所得税及び住民税を課せられる事があるかもしれません。


3.まとめ

いずれにせよ、個人事業主時代の借入金の金額が特に多い場合、医療法人成りについては、慎重に進める必要があると考えられます。専門家に相談の上、今後の返済方法や金融機関との交渉方法なども合わせて慎重に進める必要があると考えられます。



メール相談
メール相談メール相談
ページトップへ