歯科クリニック院長が医療法人化する理由とは?
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1.はじめに
歯科クリニック院長は、開業5年も経つと支払う税金が増えて、その対策として一度は医療法人化を検討されたことがあるのではないでしょうか。医療法人化している先輩院長や、自身より稼いでいる個人事業のままの先輩院長などに話を聞きながら、検討されていることと思います。
このコラムでは医療法人にしている院長が何を起点に医療法人化を経営手段として活用しているのか解説していきます。
2.医療法人化の真の目的
医療法人化の最大の目的は「節税」だと思われている方は多いですが、実はその先には下記のような真の目的があります。
①効率的に利益を残して、ユニット増設や3D光学スキャナなど機器の投資に備える
②分院を開設する計画がある
③親から医院を引き継ぐときに資産負債を整理して引き継ぐ
医療法人化を検討する際には目的をハッキリさせることで、そのメリットを最大限活用することができます。
①効率的に利益を残して、ユニット増設や3D光学スキャナなど機器の投資に備える
医療法人にかかる法人税率は、個人の税率に比べ低いです。
所得が1800万円超になると所得税住民税で50.84%も課税され、半分しか残りません。医療法人にすることで残る利益が増えますので、設備投資にむけて現金を効率的に貯えることができます。
計算例:所得2000万円の院長が、100万円を利益で貯蓄する
個人 100万円×(1-0.51)=49万円の貯蓄
法人(理事報酬支給後800超利益)100万円×(1-0.27)=77万円の貯蓄
②分院を開設する計画がある
近い将来に分院を開設する計画がある院長は、事前に医療法人を開設しています。
それは医療法人設立までにかかる期間が6ヶ月以上もかかることと、分院開設に必要な資金を貯める必要があるからです。また分院開設時の資金調達は銀行融資が主な方法となりますが、法人設立していないと契約を結ぶことさえできません。
ですから分院を計画される場合は、まず自身の医院を医療法人化し利益を貯え、融資をはじめ様々な契約を医療法人ですることとなります。
③親から医院を引き継ぐときに資産負債を整理して引き継ぐ
親から医院を承継する方法として医療法人を活用する院長は多くいらっしゃいます。それは医院の経営と親の資産・負債を区別して承継したいという考えがあるからではないでしょうか。ここでよくある事例をご紹介します。
・医院の土地建物や実家は、親の所有
・預金は医院の運転資金と家計が分けられていない
・承継後も親には一緒に働いてもらう(だが、お金はしっかり分けておきたい)
・兄弟と将来揉めたくない
この場合のオーソドックスな承継形態は、次の通りです。
・親が院長として医療法人化し、2,3年後に理事長・管理者を交代することで承継する
・医院の土地建物は医療法人と親が賃貸借契約を結び賃料の受け渡しを行う。必要であれば建て替えやリニューアルのタイミングで自身が融資を受け購入するか医療法人が購入する
・医療法人の預金は医院の運転資金として、親に給与を支払い家計としっかり分ける
・医療法人の利益は親の相続財産とはならないため、この部分について兄弟と揉める必要が無くなる。
3.おわりに
いかがでしたか。今回は、多くの先生が医療法人化される真の目的を解説してきました。ご自身の医院で当てはまる部分も多いのではないでしょうか。
弊社は、福岡、佐賀、長崎を中心に約300件の歯科医院の税務顧問をさせていただいており、歯科医院の医療法人化も多数経験がございます。何かお困りごとがございましたら下記問い合わせからお気軽にご連絡ください。
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