お気軽にお問い合わせ下さい 092-403-5544
お問い合わせ
                 
クリニック経営ナビは、医科(病院・クリニック)・歯科専門の税理士による情報サイト
メニュー
閉じる
2020/12/18

出資持分有り医療法人と出資持分無し医療法人の違いとは?

1, はじめに

平成19年4月に行われた第5次医療法改正により、医療法人の残余財産(解散した場合の財産の帰属先)や社員が退社した場合払戻しについての考え方が大きく変わりました。
   

2, 財産の帰属先

上記医療法改正に設立された社団医療法人を「出資持分有り医療法人」と言い、設立時に社員が出資を行っています。
出資持分有り医療法人が解散した場合の残余財産は、出資者に帰属するものとされています。
例えば、設立時に理事長が100万円出資した医療法人の純資産が10億円になっている場合、この10億円は出資者のものとなります。

平成19年4月以降は、出資持分有り医療法人を設立することができません。
多くは医療法人設立時に社員が基金の拠出を行う「基金拠出型医療法人」として設立されています。
基金拠出型医療法人が解散した場合の残余財産は、国又は地方公共団体等に帰属するものとされています。


3, メリットとデメリット

出資持分有り医療法人

<メリット>
1)残余財産の帰属先が出資者となっているため、不慮の事故で社員全員に万一が起こった際も
  相続人に引き継がれる。
2)出資持分を評価できるため、M&A等の際の金銭取引が容易。

<デメリット>
1)残余財産の帰属先が出資者となっているため、医療法人の財産について相続税の対象となる。
2)社員が退社した場合等に退社時の医療法人の財産について払戻請求を受け
  医療法人の資金繰りに甚大な影響が発生する場合がある。


出資持分なし医療法人

<メリット>
1)残余財産の帰属先が国等となっているため、医療法人の財産に対する相続税は課税されない。
2)社員の退社時に払戻請求は行われない。

<デメリット>
1)M&A等の際の譲渡価格算定が難しい。
2)不慮の事故で社員全員に万一が起こった際に医療法人の財産処分権を有するものがいなくなるため、
  残余財産は国等に帰属する。
3)医療法人の累積利益金額が1億6666万を超えると交際費が全額損金不算入となる。
  

4,出資持分があるかどうかの確認方法

自法人に出資持分があるかどうかは、定款で確認することができます。

定款内に下記規定が掲載されている医療法人は出資持分有り医療法人となります。

「社員資格を喪失した者は、その出資額に応じて払戻しを請求することができる。」及び「本社団が解散した場合の残余財産は、払込済出資額に応じて分配するものとする。」



なお、定款内に下記規定が掲載されている医療法人は、出資額限度法人といい注意必要です。

「社員資格を喪失した者は、その出資額を限度として払戻しを請求することができる。」及び「本社団が解散した場合の残余財産は払込済出資額限度として分配するものとし・・・」

この法人は定款上、出資持分が無いように見えますが、出資持分有り法人への定款変更が可能なため、医療法人の財産に対する相続税は課税されてしまいます。
  

5, 最後に

相続税の支払いが大きいため、出資持分を放棄し、出資持分無し法人へ移行するというケースが増えていますが、一度放棄すると後戻りすることができないため、慎重な判断が必要となります。

その他詳細につきましては、弊社担当者までお問い合わせ下さい。


メール相談
メール相談メール相談
ページトップへ