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2023/10/24

個人クリニックの事業承継時の注意点

1.はじめに

個人開設のクリニックの事業承継は、医療法人開設の診療所の事業承継と比較して、手続き事項が多く、煩雑になります。また、保険診療を切れ目なく続けるためには、事前の準備が非常に重要です。

 

2.事業承継時に必要な手続き

保健所の手続き

個人開設のクリニックを事業承継する場合、保健所で2つの手続きが必要です。まずは先代の先生の診療所の廃止手続き、そして引き継ぐ先生の診療所開設手続きです。診療所開設手続きには診療所の図面やエックス線装置備付届等の提出が必要です。エックス線装置備付届には放射線測定報告書の添付が必要であり、外部業者の協力が必要です。また、先代の先生より診療所の図面の引き継ぎが上手くできれば良いのですが、図面が古く、新たに対応を迫られるケースも考えられます。保健所の手続きを円滑に行うためには、必要書類を早期に確認しておくことが重要です。

厚生局の手続き

保険診療を切れ目なく行うためには厚生局への事前確認も非常に重要です。手続きの段取りが悪ければ、保険診療を行うことができない期間が生じてしまう恐れがあり、想定外の損失を被る可能性もあります。厚生局により要件が変わる場合もあるかもしれませんが、保険診療を切れ目なく行うには下記の条件を満たす必要があります。

・カルテの引き継ぎを行うこと
・患者の引き継ぎを行うこと
・診療所の廃止日と開設日が連続していること
・開設場所が同一であること

以上のような要件を満たすことができれば、保険医療機関の指定申請や施設基準の届出の遡及適用が可能になります(必要な要件が案件ごとに変わる可能性もあるため、事前に厚生局の担当者と面談し、要件を確認する必要あり)。

ここで注意が必要となるのが施設基準の届出です。上記要件を満たすことで施設基準の届出の遡及適用が可能となりますが、研修要件を満たす必要がある施設基準に関しては、開設日時点で研修要件を満たしておく必要があります。研修要件が必要な施設基準の届出を行う予定があれば、早期に研修要件を満たしておくことをお勧めします。

医師会(歯科医師会)の手続き

保健所、厚生局の手続きに注意を払いがちですが、忘れてはならないのが医師会(歯科医師会)への入会手続きです。特に医師国保(歯科医師国保)への加入を考えている場合は、保健所、厚生局の手続きよりも前に入会手続きを進めるべきです。

税務署への届出

医師会(歯科医師会)、保健所、厚生局の手続き完了後には、税務署への開業届出書等の提出も必要です。特に源泉所得税の納付に関して納期の特例を検討している場合は、届出のタイミングが重要となりますので注意が必要です。事前に給与の締め日、支給日を検討し、届出の期限を確認する必要があります。

 

3.最後に

このように個人の診療所を事業承継する場合は様々な手続きが必要です。全ての手続きを円滑に行うには、スケジュールを作成することが何よりも重要です。特に先代の先生の健康面に不安があるようであれば、より早急に動いておく必要があります。手続きの途中で先代の先生がご逝去されるようなことになれば、バタバタの手続きとなり、保険点数算定において何らかの損害を被る可能性があります。

また、将来的に事業承継が予定されている、税制面等で医療法人化のメリットがあるのであれば、承継に関する手続きを簡素化するために医療法人化することを検討してみても良いかもしれません。

 
▼事業承継のご相談は税理士法人アップパートナーズへ
https://www.upp.or.jp/accounting/


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