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2025/11/11

改正住宅セーフティネット制度が開始されました!

「居住サポート住宅」制度開始。地域の「住まい」問題を支える新しい仕組み

1.はじめに

介護事業所の皆様は、日々の業務の中で、ご利用者様の「住まい」に関する問題に直面されることはありませんでしょうか。
「退院後のアパートが見つからない」「高齢や単身であることを理由に入居を断られてしまう」。
低所得者や一人暮らしの高齢者など、住宅確保が困難な方(住宅確保要配慮者) は増加傾向にあり、その「住まい」の確保は大きな社会問題となっています。
こうした状況のなか、要配慮者の方々が安心して賃貸住宅に入居できるよう支援するため、「改正住宅セーフティネット法」が2025年10月から施行されました 。
この新しい制度は、介護・福祉の専門知識を持つ皆様が、地域の居住支援の担い手としてさらに活躍いただくための仕組みづくりでもあります。本記事では、この改正のポイントについて解説します。

2.改正の柱:「居住サポート住宅」制度の創設

今回の改正で、新たに「居住サポート住宅」制度が創設されました 。
これは、自治体が認定した住宅において、大家さん(貸主)と、都道府県が指定する「居住支援法人(NPO法人や社会福祉法人など)」が連携する仕組みです 。
具体的には、居住支援法人が入居者(要配慮者)に対して、以下のようなサポートを行います。

•安否の確認や見守り
•福祉サービスへのつなぎ


3.介護事業所が「居住支援法人」を担う意義

この制度が求める「見守り」や「福祉サービスへのつなぎ」 は、まさに介護事業所の皆様が日々の業務で実践されている専門分野そのものです。
ご利用者様の「住まい」の確保から関わることで、介護・福祉の専門家として、地域包括ケアシステムの中でより中核的な役割を担うことが期待されます。

4.大家さん側の不安も解消へ

これまで賃貸住宅への入居が進まなかった背景には、大家さん側の「孤独死や死後の残置物処理」 、「家賃滞納」 といった不安がありました。
今回の改正では、これらの不安を解消するための対策も盛り込まれています。

残置物処理業務の追加

入居者が亡くなった後の「残置物処理」が、居住支援法人の業務として正式に追加されました 。

家賃債務保証の認定制度

家賃滞納対策として、要配慮者向けの家賃債務保証業者の認定制度が創設されます 。
介護・福祉の専門家である皆様が「居住支援法人」として間に入ることで、大家さん側の不安が解消され 、要配慮者と空き家・アパートとの「つなぎ役」 として、スムーズな入居を後押しすることができます。

5.現場の課題

一方で、支援の現場では、すでに多くの課題も抱えています。
居住支援法人の声によれば、「(これまでも福祉的サポートを行ってきたが)件数が多すぎて追いつかない」 、「(入居者の)生活上の問題を抱えておられる方がいて、大家さんとのトラブルは出てくる」 のが現状です。

6.おわりに

今回の法改正は、「ようやく法的に整備された」段階であり、これから着実に形にしていく必要があります。
「これは社会全体の問題。もっと多くの人たちに居住に困っている人がいることを、まずは知ってもらいたい」 という現場の声にもあるように、社会全体での理解が不可欠です。
介護事業所の皆様が持つ専門性は、この新しい「居住支援」の仕組みを動かしていく上で、欠かすことのできない力となります。


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