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2021/12/16

知っておきたい「質問検査権」と「守秘義務」

税金,税務調査,申告

1.はじめに

税金の課税方法には2つの方式があります。固定資産税などのように課税権者が課税標準額を計算し税額を課す方式のことを賦課課税方式と言います。一方で、所得税や法人税といった事業にかかる税金のように納税者が自身で税額を計算し申告する方式のことを申告納税方式と言います。

申告納税方式では納税者が自身で税額等を計算し申告をするため、課税庁は申告内容が適正であるかをチェックし、不正な申告を牽制する必要があります。このため課税庁には税務調査をする権限が与えられており、税務調査の結果税額等が国税に関する法律の規定に従っていなかったと認められる場合には、税額等を更正することができるとされています。


2.税務調査の流れ

課税庁には前述のように税務調査を実施する権限が与えられています。税務調査の具体的な流れとしましては、まず課税庁が調査先を選定します。調査先に選定をされると事前通知が行われます。

税理士が税務代理権限により代理申告をしている場合には、納税者でなく税理士に連絡が入ります。電話連絡であることがほとんどで、質問検査等を行う場所、日時、目的、税目、期間等について通知し、調査日程の調整が行われます。
そして実地調査の結果、申告内容に誤りがある場合には修正申告の勧奨が行われます。申告内容に誤りがない場合には是認通知が出され調査終了となります。


3.質問検査権とは?任意調査か強制調査か

国税通則法74条の2第1項において課税庁職員は所得税、法人税等に関する調査について必要があるときは、帳簿書類を検査し、提示若しくは提出をもとめることができると規定されています。この権限のことを質問検査権といいます。

質問検査権は課税庁職員に任意の行政調査の権限を認めるものであり、国税局査察部が犯則調査を行う際の強制調査の権限とは異なるものです。ただし、任意の行政調査に関する権限ではありますが、納税者には質問に答え検査を受ける義務が課されています。正当な理由がなく質問検査に応じない場合には1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が課されます。任意調査ではありますが間接的な強制力を持っていると言えます。


4.守秘義務との関係

職種や業務内容によっては納税者が帳簿書類等について守秘義務を負っているケースがあります。このようなケースでは、税務調査において納税者の業務上の守秘義務と課税庁職員の質問検査権とが対立する場面がでてきます。例えばクリニックの税務調査においてカルテの開示を要求されるケースなどがこれに当たります。

納税者は守秘義務があるから情報を開示できない、課税庁は正確な所得金額を補足するために必要な書類として開示を求める、といった場面です。この場合、守秘義務が優先されるのか、質問検査権が優先されるのかが問題となります。結論から言えば質問検査権が守秘義務に優先されることがあり得ます。カルテ開示を質問検査権の範囲として適法する処分が多数存在します。

国税通則法では、守秘義務を負う業種に対しても質問検査権の行使が容認されていますので、守秘義務に含まれる事項が税務職員の知るところとなることは法によって当然に予定されているものと考えられます。
判例を見ると、質問検査権の対象となる書類は金員支払等の経済的な取引の側面に限られること、税務職員も調査の過程で知り得た事項については守秘義務を負うことから、守秘義務のある弁護士に対する質問検査権の行使を適当であるとした事例(大阪高裁平成13年12月19日判決)があります。
実務では、課税庁側の質問検査権の行使に合理的な必要性があるのか、納税者側の主張(守秘義務による質問検査の拒否)が不合理といえないような特段の事情があるのか、これらを勘案して個々に判断されることになると考えられます。

税務調査で似たような場面に遭遇することは多々ありますので、調査対応時に参考としてお見知りおき下さい。


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