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2020/10/21
雇用調整助成金と税金の関係

1, はじめに

医療機関に限ったことではありませんが、
新型コロナウイルスの影響によりシフト数を減らしたり診療時間を短縮したりしたことにより、
医院側からスタッフさんに「休んで下さい」とお願いするケースがあります。
このような場合に、休んだ日の分についても一定額の給与を支給することにより
「雇用調整助成金」を受けているケースが多くあります。

この雇用調整助成金は法人税や所得税の計算に影響しますので、何点か注意しておく点について
ご紹介いたします。
 
 

2, いつの時点で収益認識するか

雇用調整助成金は法人税の計算上益金の額に算入され、収益計上することになります。
所得税の計算上は事業所得に区分されますので、個人事業者にあっても同様に収益計上します。
会計上は雑収入として処理し、営業外費用に計上するのが一般的です。

では、この雇用調整助成金を雑収入に計上する時期ですが、
これについては法人税法基本通達2-1-42(法令に基づき交付を受ける給付金等の帰属の時期)に規定があります。

 

「法人の支出する休業手当(中略)等の経費を補填するために雇用保険法(中略)等に基づき交付を受ける給付金等については、その給付の原因となった休業、就業、職業訓練等の事実があった日の属する事業年度終了の日においてその交付を受けるべき金額が具体的に確定していない場合であっても、その金額を見積り、当該事業年度の益金の額に算入するものとする。」

 

とされていますので、決算時点で支給額が確定していない場合であっても、
その事業年度に属する月分については見積額を未収入金として雑収入に計上する必要があります。

決算時にこの処理を失念すると収入の計上漏れとなるので注意しなければなりません。

「雇用調整助成金の申請をしているがまだ入金されていない」という状況で決算を迎えた場合には、
当期分については見積額を収入計上しないといけないため、
必ず申請している旨を税務担当者へお伝え頂くようお願い致します。

 
 

3, 所得拡大税制への影響

スタッフさんの給与を前期よりも増加させて場合に、
給与の増加額の一部を税金から戻す(減額する)「所得拡大促進税制」という制度があります。
大まかに言いますと、中小企業の場合、前期より増加させた給与のうち15%が税金から戻るという制度です。

厳密には細かな要件がたくさんありますので、必ず使えるわけではないのですが、
一人当たり単価も上がっていて、全体の支給総額でも上がっている場合は適用できるケースが多いです。

※厳密な要件は下記の「経済産業省中小企業庁 中小企業者向け所得拡大促進税制ご利用ガイドブック」をご参考下さい。
https://bit.ly/3odvtiH

 

この所得拡大税制ですが、法人税(個人事業者の場合は所得税)から直接税額を控除できる制度ですので
インパクトが大きいです。
使えるか使えないかで納付税額が大幅に変わります。

この所得拡大税制が使えるかどうかの判定をする際に、雇用調整助成金が関係してきます。
所得拡大税制の言う給与等からは「その給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額」を控除することになっており、雇用調整助成金はこれに該当します。

比較試算表で給与が前期比で増加していても、雑収入に雇用調整助成金が計上されていれば、
雇用調整助成金の額を給与等から引いて考えないといけないため、
試算表を見るだけではその判断を誤る場合があります。
 
 

4, 最後に

前期より給与が増えており税額控除が使えると考え、納税予測、資金繰り予測をしている場合でも、
決算時に請求はしているがまだ入金されていない雇用調整助成金の資料がドンとでてくると、
予測計算が大きく変わってしまいます。

こちらも同様に早めに税務担当者へ資料を提供して頂き、情報を共有いただくようお願い致します。


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