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2023/04/06

「インターネットの誹謗中傷、どう対処する?」

1. はじめに

インターネットは、今や日常生活に欠かせないツールとなり、私たちはスマホやパソコンから日々さまざまな情報を入手することができます。
最近では、SNSを通じて簡単に情報発信ができるようになったことから世界中の人とも繋がることができるという大きなメリットがありますが、一方で、個人に対する誹謗中傷、名誉やプライバシーの侵害、いじめや差別を助長する書き込みによって、人権に関わる様々な問題が発生しています。このような誹謗中傷は、自分が当事者になる可能性もありますので注意が必要です。
今回は、インターネット上で誹謗中傷を受けた場合の対処法をお伝えしたいと思います。


2.初動が肝心!情報の削除依頼を

インターネット上に自分の名誉を傷つけたり、プライバシーを侵害するような情報を投稿された場合、書き込みをした人物が分からないケースなども多くあります。誰に何をどう依頼すれば良いのかわからず解決策を考えている間にも情報が拡散すればその被害も広がりますので1日でも早い対処が必要です。このような場合の対処の手順について順を追って説明します。(注意!:証拠保全のため、投稿ページのコピーやスクリーンショットも必ずしておいてください。)

①プロバイダに発信者の情報開示及び情報の削除依頼をする

ここでいうプロバイダとは、インターネット回線をインターネットに繋げる会社(BIGLOBEやyahooBBなど)や投稿サイトの運営者、ブログの運営会社・管理人も含まれます。
まずは、プロバイダに発信者の情報開示を請求します。相手が分かればその後の告訴や損害賠償の請求も可能になります。
開示される情報は、氏名、住所、メールアドレス、侵害情報が発信された日時及び時刻、IPアドレス、利用者識別番号、SIMカードの識別番号です。
プロバイダには、他人の権利を侵害した情報が不特定多数者に送信されることを防止することをしなかった場合や、知っておきながら放置した場合は、被害者への損害賠償責任があります。(「プロバイダ責任制限法」)
※参考様式「侵害情報通知書兼送信防止措置依頼書」(記載例:法務省HPhttps://www.moj.go.jp/content/001243953.pdf

②書き込んだ相手が分かっている場合は、相手への削除依頼をする

相手に投稿の削除を依頼する場合は、後日の訴訟なども想定して、証拠が残るように内容証明郵便などの手段で通知することをお勧めします。

③発信者及びプロバイダが削除請求に応じない場合や自ら削除依頼が難しい場合は、法務局へ削除要請をすることができます。

法務局からの削除要請は、事前の調査により、被害者の名誉棄損やプライバシー侵害などの人権侵害に該当する場合にのみ行われます。この法務局からの削除要請は、強制力がありません。

④プロバイダが法務局の削除要請にも応じなかった場合は、裁判所に情報削除の仮処分の申立を行います。

仮処分命令を出してもらうには、裁判所にSNSの投稿によって誹謗中傷の被害を受けていることをわかってもらうための資料や申立書を作成して提出する必要があります。それらをもとに裁判所はプロバイダに「投稿の削除をせよ」という仮処分命令を出すことになります。素早い対応が必要な場面ですので、資料の収集や申立書の作成は弁護士などの法律の専門家に依頼することをお勧めします。


3.犯罪の処罰と損害賠償の請求

もし、発信者(加害者)の処罰を求めたい場合は、警察に犯罪(名誉棄損罪、侮辱罪、業務妨害罪、信用毀損罪、脅迫罪)の事実を申告し、告訴(裁判で裁くことを求める)する必要があります。告訴は、加害者を知ったときから6ヶ月以内ですので、注意してください。
それとは別に発信者の投稿が不法行為の要件を満たせば、民事で損害賠償を請求することができます。
また、プロバイダに対しても削除要請に応じなかったなどの理由により損害賠償を請求することができます。


4.相談窓口の利用

インターネットによる誹謗中傷や人権侵害については、政府や民間も相談の窓口を設けています。参考にしてください。
【ネットに関連する犯罪の相談】
警察庁 | サイバー警察局https://www.npa.go.jp/bureau/cyber/index.html
【誹謗中傷被害者の削除依頼等の相談】
違法・有害情報相談センター https://ihaho.jp/
【誹謗中傷書き込みの削除要請・相談】
法務省インターネット人権相談受付窓口 https://www.jinken.go.jp/
ネットの誹謗中傷 | セーファーインターネット協会 https://www.saferinternet.or.jp/
【告訴・損害賠償等の相談】
法テラス 公式ホームページhttps://www.houterasu.or.jp/


5.最後に

ちまたでは、テレビ番組の出演者が番組内での言動をきっかけにSNSで誹謗中傷を受けて自殺した事件や、あおり運転事件で無関係の女性のデマ情報が拡散されたなど、SNSに関する事件のニュースを見ると、何もしていなくても誹謗中傷を受ける立場になりうる可能性があることがよくわかります。
日本では、このような誹謗中傷を抑制するために刑法犯罪の厳罰化を行っていますが、やはり最後はネットユーザーの一人一人が、「ネットで繋がっている先にいる”誰か”を傷つけない」という意識を持つことが大切なのだと思います。



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