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2026/04/24

クラウド時代の落とし穴!「アカウント管理」の重要性

1. はじめに

一昔前のクリニックといえば、「レセコンはインターネットにつながらないスタンドアロン(オフライン)」が鉄則のような世界でした。そのため、患者データがネットワークを介して流出するリスクは極めて低く、システムのアカウント管理もどこか「身内だけのもの」という甘さがあったように思います。スタッフ全員で共通のIDを使い、パスワードも電話番号や医院名を英語表記したものなど、非常に簡単なものが設定されている――そんな光景も珍しくありませんでした。

しかし、現在の医療現場は国が推し進めるDX化の流れに乗り、利便性と引き換えに外部ネットワークとの接点が急増しています。それに伴い、以前からの「甘い管理」が原因で、小規模なクリニックであっても患者情報の流出インシデントが発生しているのが実情です。

2. 「ハッキング」よりも怖い、身近な管理不足

情報漏洩と聞くと、外部のハッカーによる攻撃を想像しがちですが、実際には「IDとパスワードのずさんな管理」から、正当な権限を悪用されて情報を抜き取られるケースの方がむしろ多いのです。

現在のクリニックでは「完全オフライン」「ハイブリッド型」「フルクラウド型」など、様々な形態でシステムを運用されていますが、特にクラウド型のサービスが増えたことで、以下のようなリスクが潜んでいます。

システム種別 想定されるリスク ありがちな「ずさんな管理」
オンライン予約・Web問診 氏名、住所、症状が丸見えになる。 「reception」などの部署共通IDを全員が使い回している
スタッフ用SNS・コミュニケーションツール 患部写真や詳細な個人情報が残る。 個人のLINE利用や、退職者のアカウントの放置
クラウドストレージ 患部の写真、紹介状や検査データがそのまま流出する。 パスワードが単純で、二段階認証がない
オンライン診療ツール 顔写真や決済情報にアクセスできる。 初期パスワードをそのまま使い続けられている。



クラウド型の電子カルテ等では「IPアドレス制限」をかけているケースも多いですが、管理上の都合で制限を緩めている場合、IDとパスワードだけで全診療記録が筒抜けになってしまう恐れがあります。

3. なぜ「ずさんな管理」が放置されるのか

クリニックでは、特有の事情がリスクを増大させています。

①「共通アカウント」の文化

一人ひとりにIDを発行する手間やITリテラシーの問題から、「受付メンバーはこのIDで」「看護師たちはこのIDで」という運用が常態化しています。

②退職フローの欠如

医院の建物の鍵は返してもらっても、デジタルの鍵(アカウント権限)はそのままになりがちです。

③パスワードの「見える化」

モニターの横にID・パスワードを書いた付箋が貼ってあるような状況で、時には患者側からも見える状態になっています。

4. 「誰がログインしたか分からない」という恐怖

共通IDを使っていると、万が一データが持ち出された際に「誰が操作したのか」を特定できません。これは組織管理において非常に危険な状態です。

5. 信頼を守るために、最低限取り組みたい3つのこと

「これまでは大丈夫だったから」という考えは、クラウド全盛の現代では通用しなくなっています。まずは以下の3点から見直してみることをおすすめします。

①「二段階認証(MFA)」の有効化

パスワードに加え、スマホに届くコード等を入力するようにします。

②「一人一ID」の徹底

誰がいつ利用したかを明確にし、退職時は即座に削除します。

③パスワードマネージャーの利用

推測されやすいパスワードを避け、複雑なものをシステムで安全に管理します。

現場のスタッフさんからは「面倒くさい」という声が上がるかもしれません。しかし、一度漏洩事故が起きれば「知らなかった」では済まされない損害賠償や、長年築き上げた地域からの信頼失墜につながります。

「情報は医院の重要な資産である」という認識を改めて共有し、デジタルの鍵もしっかりとかけ直す。そんな一歩から、より安全なクリニック運営を目指していきましょう。


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