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2016/08/09

医療法人の事業“買収”で気を付けたいポイント

はじめに

医療施設の規模や設備などによって診療できる患者数には限界があります。

そのため、今後、医業収益を拡大しようと考えた場合、新たな医療機器を導入し、それまで対応できなかった診療行為への対応を図ることや診療方針の見直しを行ったうえで、診療行為を増やすことで患者一人当たり診療単価を上昇させることは、有効な手段として考えられます。
しかし、地域ごとに診療科目によって病床総数の大枠は定められています。

大きな病床を有するような規模の新規医院を容易に設立することはできませんし、既存の医院が増床する場合にも、認可が必要となります。
このように、既存の医院のみで医業収益の拡大を見込むには限界があり、医療法人の抜本的な早期の業績拡大をめざすには、M&Aによる医療法人の買収を行う戦略が考えられます。

そこで、今回は医療法人の事業“買収”で気をつけたいポイントについて着目してみました。

 

1.買収目的、買収基準、買収後の計画

なぜ買収するのか、他に買収先がないか、経営戦略が買収でないといけないのか、基本的な方針をまず明確にしましょう。

また、買収にあたっての予算等のベースラインもしっかりと想定しておきましょう。そうした上で、候補先の買収後の相乗効果を考慮して、買収先をサプライチェーンの中の位置づけをどう定めるかということや買収後に院長が交代した場合の影響の有無なども事前にしっかりとシミュレーションすることが大切です。

 

2.買収案件の評価、算定

医療法人の買収では、事業価値に見合う妥当な金額で契約するということが大切です。

買収は将来への投資にあたり、投下資本が回収できないと意味がありません。そのため売却者へ決算書類、各種契約書類、人事労務規程類の整理や顧客情報管理、さらには資産評価の際の根拠資料などの提示を求めて、細部にわたって経営状況を把握し、買収後の事業継続によって回収できる案件なのか、買収金額なのかをしっかりと判断する必要があります。
しかしながら決算書類には載っていない重要な情報もあります。

決算には記載されていない情報例

• 従業員への残業代の未払い
• 退職金規程があるにも関わらず積立てられていない要退職金支給額
• 係争中の案件
• 決算書類上は資産扱いになっているが回収不能の未収金や売掛金などの債権
• 引き継ぐ必要のないリース物件で途中解約した分の違約金
• 買収後に仕入業者との契約内容の変更より高額な材料の仕入費
• 医療機器の周辺環境(例えば配管等)が古くための追加工事費

上記のような決算書類に載っていない費用や問題が発生するリスクがあるため、慎重に売却者へのヒアリングや各種契約書類や規程類の整備及び運用状況など経営の実態をしっかりと把握しておきましょう。

 

3.専門家の活用

決算書類に載っていない事項が発生するリスクを把握することは、医療分野の専門知識に限らず、法務・人事労務・会計・税務など高度な専門的知識が要求されます。また、医療法人に関するM&Aという特殊性から交渉の状況によっては売却者の方針が変わり、当初の契約内容が変更されるリスクもあります。

さらには、交渉中にも関わらず他の買収候補先に商談が移ってしまう危険性もゼロではありません。買収前後のトラブルを避けるためにも買収するタイミングを検討したうえで、ブレーンとなる専門家である評価機関へ買収調査や交渉・契約を依頼されることをおすすめします。

 

まとめ

医療法人の買収にあたっては、まずビジョン・戦略を明確にして臨むことが肝要です。

その明確な方針のもとに、買収交渉をすすめていくことが必要ですが、売却者と買収者のお互いの信頼関係が何よりも大切です。

信頼関係を築いていくためには、第三者の専門家を交渉のテーブルに入れて、事業価値を正当に評価し、条件交渉を重ねたうえで、契約事項として書面の取り交わしを行うことが売却者・買収者双方にとって必要です。

お互いが笑顔で契約書にサインをして、買収後にトラブルが起きることなく、買収がさらなる発展の礎となることが、かかりつけの患者さんにとっても いちばん良いことです。
もっと詳しく知りたい、買収準備について的確なアドバイスをご希望の方はご相談を随時お受けしておりますので、ご遠慮なくお問い合わせください。

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