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2016/06/24
事業主なら知っておくべき産休・育休に関する基礎知識。手当・受給要件・支給額など

はじめに

多くの女性スタッフを抱えているクリニックにおいて、スタッフの妊娠・出産・育児時に、経営面に大きな影響を及ぼすことがあります。貴重な戦力である仕事と育児の両立をめざす女性スタッフにどのタイミングでどのくらいの期間の産休や育休を与えればよいのでしょうか。また、手当など受給できる制度にはどのようなものがあるのでしょうか?今回は、スタッフが産休や育休を取得する際のポイントや手当についてご紹介していきます。

1.そもそも産休・育休とは?

産休とは産前産後休業の略で、女性労働者の母体保護のため労働基準法第65条で定められている、働く女性が出産前と出産後に取得できる、労働基準法で定められた休業期間のことです。産休は出産にともなう休業のため女性のみが取得できます。
産休は、産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合に取得でき、産後8週間以内は必ず休業させなければいけないことになっています。
育休とは育児休業の略で、通称、育児介護休業法によって子どもを養育する労働者が法律に基づいて取得できる休業のことです。最近、「育休を1年取った」とか「保育園が決まらないから育休を延長しないといけない」という話を耳にされることが多いと思いますが、育休は一歳未満の子供を養育する男女の労働者が対象となりますので、男性も取ることができます。

女性は産後休暇終了の翌日から男性は子どもが誕生した日から取得できます。

2.産休・育休は取得させないといけない?

労働基準法第65条によりますと、産休は妊娠して働いている女性なら誰でも休業を取ることできるとなっています。
つまり、クリニックの就業規則に記載がなくても休暇は取得でき、パートや派遣社員など雇用形態に関係なく産休・育休とも取得できます。
また、産前休業はスタッフ本人の請求により与えられるのに対し、産後休業は本人の請求の有無に関係なくクリニック側から必ず与えなくてはいけないことになっています。
出産前日まで働いていたという人もいますが、産休に入るのに個人差があるのはこの規定が要因のひとつになっているのでしょう。
労働基準法第65条では、産後6週間まではたとえスタッフ本人が希望しても就業させてはいけません。

違反した場合、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金を課せられるリスクがあります。(産後6週間を経過した場合は、もし女性従業員が出勤を希望したら出勤を認めていいケースがあります。)
育児休業は、医院が独自に定めている「育児休暇」とは区別され、育児休業も仮に医院に規定がなくても、条件を満たしていれば申し出により取得することが可能です。

もしも、医院の対応に問題があれば労働局から助言・指導・勧告がなされ、労務トラブルに発展しかねないので十分に注意しましょう。

3.産休・育休中の従業員に対する手当について

社会保険と雇用保険から手当が支給

産休中や育休中に給与を支払うかどうかは、法律に定めはなく、事業主の方針に委ねられています。産休中、クリニックは社員へ給料を支払う義務はありません。
事業主が給与を支払わなくても、そのスタッフが社会保険に加入していて一定の要件を満たせば、産休中は健康保険から手当が支給されます。

育休中は要件を満たせば雇用保険からスタッフへ手当が支給されます。
具体的には、健康保険から出産にあたり分娩費用補てんのために「出産育児一時金」が支給されます。これは赤ちゃん一人の出産につき42万円が支給される制度です。

赤ちゃん一人ずつに対して支払われるため双子や三つ子の場合は、その2倍、3倍の金額になります。1回の出産に必要な費用は、分娩先の医療機関や分娩の状況にもよりますが、40~50万円程度。
産前産後休業中には「出産手当金」が支給されます。これは産休中に給料が出ない代わりに申請すると給付されるものです。

クリニックの健康保険組合などから出産手当金が支給されます。国や自治体の制度ではないので、国民健康保険の加入者の場合は利用できません。
また、育休中には雇用保険から「育児休業給付金」が支給されます。これは、スタッフ本人(ママやパパ)が加入している雇用保険か、通常1年間支給されます。

受給要件

雇用形態は正社員でもパートやアルバイトでも関係なく受給できますが、この他に社会保険や雇用保険などの要件があります。

出産育児一時金

健康保険(社保、国保を問わず)の被扶養者又は被保険者で、妊娠4カ月以上の妊婦であること(生産、死産、早産を問わない)。

出産手当金

その女性スタッフの勤務先の健康保険に1年以上継続して加入している被保険者であること。国民健康保険の場合は出産手当制度がないため受給できません。
また、夫の扶養に入っている人も受給資格がありません。これは出産手当金を受給されている間は夫の扶養にも入れないということです。出産育児一時金とは別物ですので要注意です。

育児休業給付金

・休業開始前の2年間に賃金支払基礎日数11日以上ある月が12カ月以上あること
・育児休業期間中に、休業開始前賃金の8割以上の賃金が支払われていないこと
・就業している日数が各支給期間(1ヵ月ごとの期間)に10日以下であること

支給額

出産育児一時金

1児につき42万円(在胎週数が22週に達していないなど、産科医療補償制度加算対象出産でない場合は39万円)です。
(42万円までの出産費用なら妊婦は医療機関にお金を支払わなくてよく、42万円を超えた分は自己負担になります。)

出産手当金

休業1日につき標準報酬日額(標準報酬月額を30で割ったもの)の3分の2に相当する金額です。

育児休業給付金

育児休業給付金の支給額は、育児休業取得から180日までは給与の67%、それ以降の期間は給与の50%です(平成26年4月1日から増額改正)。※上限あり
ここでの「給与」とは、育児休業開始前6ヶ月間の給与の平均額(6ヶ月間の給与の合計額を180日で割った金額)を言います。これに支給日数(原則30日)を掛けた金額が1ヵ月分の給付額になります。
※ただし、クリニックが給与の80%以上を給与として支払う場合は給付金が支給されません。

まとめ

以上、産休・育休についてご説明してきましたが、産休・育休は、正社員やパートなど雇用形態に関わらず与えなければいけません。
手当については、スタッフ本人が加入している健康保険と雇用保険の加入状況の違いによって異なります。従業員さんにとって重要な福利厚生の内容となりますので、事前にしっかり説明しておきましょう。制度は年々変わっていますので、詳しくは所轄の役所か、顧問の社会保険労務士、もしくは弊社までご遠慮なくお問い合わせください。

 


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