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2020/11/05
家族信託による財産管理

1, はじめに

高齢化・認知症が進む社会において、財産管理や相続対策には様々なリスクが伴います。
今回は皆様方の大切な資産を守っていく過程において、どのようなリスク・問題があるかを踏まえて、
その対策についてご案内いたします。
 

2, 高齢化にともなう財産管理のリスク

事故や病気で判断能力を失うと、保有する財産の管理ができなくなります。
銀行預金の出金の管理は年々厳しくなっており、
解約や多額の送金・出金の際は、本人かどうかの確認を逐一求められます。
代理の方が窓口に行った際は、電話によって確認をすることもあります。

不動産を売却する際も本人の意思確認が厳格に求められます。
不動産を多数保有している方が相続税対策として、不動産を子へ売却したり生前贈与したり、
数年かかるような計画を立てても、判断能力が途中で低下してしまうと頓挫してしまいます。

また会社経営者や医療法人の理事長ご本人が判断能力を失うと、
代表者の交代や個人・法人ともに資産の処分が難しくなります。
 

3, 家族信託とは

財産管理を守る事前の有効策として、「家族信託」という制度があります。
信託とは、財産を持つ方が契約によって信頼できる人に対して財産を移して、一定の目的に従って、財産を管理・処分する行為です。
その中でも、任せる相手として最も信頼できる家族・親族に財産管理を任せる形が「家族信託」と呼ばれています。
信託会社が報酬手数料を預かって営利的に管理するのとは違い、一般的には無報酬で任されたほうが管理します。
 
会社の株式を信託すれば、経営者夫婦に配当権を残し、後継者の方には議決権(経営権)を移すことができます。
後継者の経営に不安がある場合は議決権を戻せる設定にもできます。
また不動産を信託すれば、賃料収入を経営者夫婦が受け取り、管理や処分の権限のみを移すという仕組みも可能です。

最初に決めた目的に従って、財産の管理・運用が実現できますので、基本的に事後の健康状態に左右されません。
信託を任せた方が認知症の発症による判断能力の低下や意思の喪失が起きても、
本人の承諾や本人確認を要せずに、信託財産の管理・処分を継続することができます。
 

4, これまでの制度との比較

まず遺言とは違い生前に対応することができます
また遺言のような一方的な意思表示ではなく、家族親族と話し合って決めていくので、イメージとしては「生前の遺産分割協議」のような形に近くなります。
 
またこれまでの代表的な財産管理手法である成年後見制度では、
財産を維持することが原則となり、積極的な財産管理ができませんでした。
例えば不動産の売却の場合は、家庭裁判所の許可を要し、必要なタイミングで処分ができないこともあります。
信託の場合はあらかじめ契約で定めておけば、家庭裁判所の許可を得ることなく、目的の範囲内で不動産の売却が可能となります。
 
加えてコスト面にもメリットがあります。
財産管理を任せても実質的な財産の移転にはならないので、任せる相手に贈与税や譲渡所得税は発生せずに、コスト面を抑えることができます。
 

5, 最後に

家族信託は、従来の制度と比べて柔軟性があり、ご本人が望む通りの財産管理を可能な限り実現させることができます。
これからの財産管理の対策としてご検討されてください。
 


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